女性がITエンジニアになる前に。労働時間は長く、男女の賃金差は小さい

夜のオフィスで女性が1人、デスクライトの下で仕事をしている。机の紙に「月144.9時間」と書かれている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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144.9時間情報通信業で働く女性の、1か月あたりの総実労働時間。女性の産業別では2番目に長い。
厚生労働省「令和5年 働く女性の状況」より

女性がITエンジニアを目指すとき、検索して出てくるのは、働きやすいという記事と、やめとけという記事の両方です。

どちらも本当だと思います。ただ、どちらの記事にも数字がほとんど出てきません。

国が毎年出している統計に、産業ごとの女性の労働時間と、賃金の男女差が載っています。読んでみると、この業界は「時間は長いが、男女の差は小さい」という形をしていました。

まず、都合の悪いほうから書きます

女性の常用労働者が1か月に働く時間は、全産業の平均で118.7時間です。産業別に並べると、情報通信業は上から2番目でした。

女性の月間総実労働時間 時間
鉱業,採石業,砂利採取業 145.3
情報通信業 144.9
全産業の平均 118.7
卸売業,小売業 112.6
生活関連サービス業,娯楽業 112.6
宿泊業,飲食サービス業 79.8

厚生労働省「令和5年 働く女性の状況」(毎月勤労統計調査・事業所規模5人以上)より抜粋。

全産業の平均より、月に26.2時間長い。1日8時間で割ると、3日ぶん多く働いている計算になります。

しかも情報通信業は前の年から2.2時間増えています。減っている産業が多いなかで、増えた側です。

この業界がきついと言われるとき、その部分は事実です。ここを曖昧にしたまま勧めるのは、あとで困るのは読む側なので、先に書いておきます。

それでも、入る人は増えています

同じ統計に、大学を卒業した人がどの産業へ就職したかのデータがあります。

女子9.7%情報通信業へ就職した割合。医療・福祉21.8%、卸売・小売13.5%、教育・学習支援9.7%に次ぐ位置
男子13.7%卸売・小売15.0%に次いで2番目。前年から0.7ポイント上昇

同上。令和5年3月の大学卒業者の産業別就職状況。

朝のオフィスの廊下で、新しい社員証を提げた女性が書類を持ち、わずかに開いたドアの前で足を止めている

女子の9.7%は、教育・学習支援業と並んで3番目の多さです。前の年からも0.1ポイント上がっています。

時間が長いと分かっている産業に、それでも10人に1人が入っている。この2つの数字は、どちらも同じ調査に載っています。働きやすいという記事も、やめとけという記事も、片方だけを見て書かれています。

賃金の差は、他の産業より小さい

もうひとつ、見ておいたほうがいい数字があります。初任給の男女差です。

令和5年3月に大学を卒業した人の所定内給与は、女性が23万4,300円、男性が24万300円でした。男性を100としたときの女性は97.5です。

この数字自体は全産業をまとめたものですが、情報通信業の特徴は、評価の材料が数字と成果物で出やすいことにあります。何をどこまで作ったか、どの技術を扱えるか。人材紹介にいたころ、この領域の選考で性別が判断材料になった場面は、他の領域と比べて少なかったのを覚えています。

時間が長いことと、評価が公平に近いこと。この2つは両立します。長く働くことになるが、働いたぶんは記録として残りやすい業界だ、という理解が実態に近いと思っています。

職種によって時間の重さは変わります。夜間の対応が発生しやすい領域については、クラウドエンジニアはやめとけのほうで、企業側の数字から確かめました。逆に在宅で働ける割合が高い理由は在宅プログラマーはきついのかにまとめています。

入る前に、確かめておくこと

ここまでの数字を踏まえると、確かめるべきなのは業界そのものではなく、入る職種と会社の働き方です。

同じIT業界でも、24時間の監視が入る運用の現場と、日中に設計と開発をする現場では、生活がまったく違います。144.9時間という平均は、その両方を混ぜた数字です。

未経験から入るときは、この違いが求人票からは読み取りにくい。募集要項に書かれているのは職種名と業務内容で、実際のシフトや当番の有無まで書かれていることは多くありません。

働き方は、職種を選んだ時点でほぼ決まりますか

おおむね決まります。運用・監視を含む職種はシフト制になりやすく、開発や設計は日中中心になりやすい傾向があります。ただし同じ職種名でも会社によって差があるため、選考の段階で当番の有無を確認しておくのが確実です。

女性が少ない職場は働きにくいですか

人数の多寡より、評価の基準が明文化されているかどうかのほうが影響します。IT領域は成果物と技術で評価されやすく、その意味では基準が見えやすい部類です。

結婚や出産のあとも続けられますか

在宅勤務の制度が整っている割合は、産業のなかでは高い部類です。ただし制度の有無と実際に使えるかは別なので、面談で運用の実態を聞いておく必要があります。

IT業界は女性の労働時間が長いのですか?

長いです。厚生労働省の令和5年働く女性の状況によると、情報通信業で働く女性の月間総実労働時間は144.9時間で、全産業平均の118.7時間より26.2時間長く、鉱業に次いで2番目でした。前年からも2.2時間増えています。ただしこれは運用職と開発職を混ぜた平均です。

職種ごとの働き方を、応募する前に聞いておく

時間の重さは業界ではなく職種で決まります。ただ、未経験のうちは求人票を読んでも運用と開発の違いが判断しにくい部分です。Winスクールは全国に教室があり、年齢やエリアの制限がありません。無料の体験・説明会で、職種ごとに働き方がどう違うのか、自分の希望する生活から逆算するとどの入口が現実的かを直接聞けます。受講を決める必要はありません。今の会社にいながら、確かめるだけの使い方ができます。

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次にやること

この業界に入るかどうかを決める前に、まず運用の当番がある職種か、ない職種かを1つだけ確かめてください。
144.9時間という平均は、その2つを混ぜた数字です。自分が入るのがどちら側かで、実際の時間はこの平均より長くも短くもなります。

※ 労働時間は厚生労働省「毎月勤労統計調査」(事業所規模5人以上・常用労働者)に基づく産業別の月平均で、職種別の内訳ではありません。就職状況は文部科学省「学校基本調査」に基づく令和5年3月の大学卒業者のデータで、中途採用は含まれません。初任給の男女差は全産業をまとめた数値です。選考に関する記述は、筆者がIT・エンジニア領域の人材紹介に在籍していた際に見た傾向に基づく整理で、企業により異なります。

参考出典:厚生労働省「令和5年版 働く女性の状況」Ⅰ 令和5年の働く女性の状況(産業別労働時間、大学卒業者の産業別就職状況、新規学卒者の学歴別所定内給与及び男女間格差)。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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