ITパスポートの難易度を得点分布で見たら、落ちた人の半分はあと100点以内だった

会社の休憩室で、肩越しに見た机の上。ITパスポートの参考書の隣に印刷した試験結果レポートが置かれ、総合評価点の欄に560、その下に分野別の点数が並んでいる。事務服の女性がレポートの端を押さえている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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2011年、ITパスポート試験が始まった年度の合格率は40.7%でした。15年たった令和7年度は48.6%です。

その間に応募者は17,064人から307,266人へ、18倍に増えています。

で、難しいのか、易しいのか。合格率だけでは答えになりません。IPAが出している得点の分布と、年齢別・学歴別の合格率を見ていきます。

合格率は48.6%。2人に1人が落ちる

まず全体の数字です。令和7年度の合格率は48.6%でした。

年度 応募者(人) 合格率
令和2年度 146,971 58.8%
令和3年度 244,254 52.7%
令和5年度 297,864 50.3%
令和6年度 309,068 49.1%
令和7年度 307,266 48.6%

合格率は受験者数を分母とした値。令和4年度(51.6%)は省略。出典:IPA「ITパスポート試験 統計情報」推移表(令和8年8月21日現在)

令和2年度の58.8%を頂点に、応募者が倍増した令和3年度から下がり続けています。ここ2年は50%を切っています。

基本情報の38%より、10ポイント高い

ひとつ上の資格、基本情報技術者試験の令和7年度の合格率は38.3%でした。基本情報の合格率を学歴と年齢で分けた記事で見たとおり、あちらは受けた人の6割が落ちます。

ITパスポートは5割。難易度の位置としては、そこです。ただ、この10ポイントの差より大きな違いが、得点の分布に出ていました。

落ちた人の半分は、あと100点以内だった

ITパスポートの合格基準は、1,000点満点で総合600点以上。加えてストラテジ、マネジメント、テクノロジの3分野それぞれで300点以上です。

IPAは毎月、受験者の総合点がどう散らばったかを公表しています。令和8年7月分の18,586人を、50点刻みで並べます。

合格ライン 600点

0300400500600700800900

令和8年7月分の総合評価点の分布。受験者18,586人を50点刻みで並べ、最も多い600〜649点の3,408人を最大の高さとした。濃い色が合格(600点以上)、薄い色が不合格。300点未満は1本にまとめた。出典:IPA「ITパスポート試験 評価点分布(総合)令和8年7月分」

山の頂点が、合格ラインのすぐ右にあります。600〜649点が3,408人で最多。その左の550〜599点が2,679人、500〜549点が2,328人。

不合格だった9,609人のうち、500〜599点の人は5,007人。落ちた人の52.1%が、あと100点以内のところにいました。550〜599点に限っても2,679人で、落ちた人の27.9%があと50点未満です。

受かった人も、4割は600点台前半にいる

反対側も同じ形です。合格した8,977人のうち、600〜649点は3,408人で38.0%。受かった人の4割が、合格ラインから50点以内で受かっています。

つまりこの試験は、できる人とできない人が真っ二つに割れる試験ではありません。受験者の3人に1人が、合格ラインの上下50点の帯に集まっている。あと数問で結果が入れ替わる試験です。

年齢が上がるほど、合格率は上がる

次に、誰が受かっているのか。令和8年度4〜7月分の受験者71,997人を年齢で分けます。

年齢 受験者(人) 合格率
10代 8,974 31.4%
20〜24歳 20,903 51.5%
25〜29歳 11,842 53.1%
30〜34歳 7,389 55.8%
35〜39歳 5,383 57.5%
40代 9,369 52.2%
50代 7,069 48.5%

令和8年度4〜7月分。60歳以上1,068人(55.0%)は省略。年齢帯は当編集部が1歳刻みの一覧表から集計。出典:同資料 年齢別一覧表

いちばん高いのが35〜39歳の57.5%、いちばん低いのが10代の31.4%です。20代から30代にかけて上がり続け、40代で少し下がる。

これは基本情報と逆です。あちらは20〜24歳が最も高く、年齢とともに下がっていました。ITパスポートは、年齢を重ねた人のほうが受かる試験です。

IT企業の人より、IT以外の企業の人のほうが受かっている

社会人を勤め先で分けると、IT系企業の人が51.7%、IT系以外の企業の人が53.3%。ITの仕事をしていない人のほうが、わずかに高い。

社会人全体は53.0%、学生は40.4%。この差と、年齢とともに上がる形を合わせると、難しさの正体が見えてきます。

ITパスポートの出題は100問のうち、ストラテジ(経営全般)が35問程度、マネジメント(IT管理)が20問程度で、合わせて半分を超えます。

どちらも、会社で働いた経験がそのまま得点になる分野です。テクノロジ(IT技術)の45問だけでは、半分に届きません。

ここまでを見ると、ITパスポートはIT技術者の資格というより、会社で働く人の共通知識を測る試験だと分かります。IT以外の会社の人のほうが受かる試験を、IT転職の武器にするのは難しい。

以前ITパスポートは意味ないのかで書いたとおり、受けている人の8割はIT企業の外にいて、採用側の評価も限定的です。

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学歴で分けると、文系の大卒は57.1%

最終学歴でも分けます。社会人の受験者55,049人のうち、学歴が分かる人の内訳です。

大学院を出た人は78〜83%。大学は理工系が58〜62%、文系(情報系以外)が57.1%。文系の情報系だけ48.1%と低めです。専門学校は37〜40%、高校は32〜43%、短大は32〜33%。

いちばん多いのは文系の大学を出た人で18,318人。その合格率が57.1%で、平均より4ポイント上です。基本情報では文系大卒が32.7%で平均を下回っていましたが、ITパスポートでは上回っています。

高校生は、4人に1人しか受からない

在学中の受験者で見ると、高校生の合格率は25〜29%です。情報系の高校でも27.2%、商業系で29.1%、普通科で25.8%。

10代の31.4%という数字は、ここから来ています。同じ試験で、35〜39歳の社会人は57.5%。2倍近い差は、知識の量というより、仕事の場面を知っているかどうかの差です。

難しさの正体は、範囲の広さ

夜の机に置かれたITパスポートの参考書。小口から付箋が横に飛び出しているが、表紙に近い前半のページに集中し、後半のページには1枚も貼られていない

ここまでの数字を並べると、ITパスポートの難しさの正体が見えます。

問題そのものが難しいのではありません。得点は合格ラインの周りに集まり、落ちた人の半分はあと100点以内にいます。年齢が上がるほど受かり、IT以外の会社の人のほうが受かる。

難しいのは、経営・管理・技術の3分野を100問で広く問われることです。知らない分野を1つ捨てると、その分野で300点を割るか、総合で600点に届かないかのどちらかになります。

採点は正答数ではなくIRTという方式で評価点を出すので、何問正解なら受かるという単純な目安もありません。

逆に言えば、落ちた人の半分は、あと1分野を埋めれば受かる位置にいます。この試験で対策すべきは、得意分野を伸ばすことではなく、捨てている分野をなくすことです。

よくある質問

ITパスポート試験の難易度はどのくらいですか?

令和7年度の合格率は48.6%で、2人に1人が合格します。基本情報技術者試験の38.3%より10ポイント高い水準です。得点分布を見ると受験者の3人に1人が合格ラインの上下50点の帯に集まっており、できる人とできない人が割れる試験ではなく、あと数問で結果が変わる試験です。

ITパスポートの合格点は何点ですか?

1,000点満点で総合600点以上、かつストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野それぞれで300点以上が合格基準です。総合点が600点を超えていても、1分野でも300点を割ると不合格になります。

ITパスポートは社会人と学生のどちらが受かりやすいですか?

社会人です。令和8年度4〜7月分で社会人の合格率は53.0%、学生は40.4%でした。年齢別では35〜39歳の57.5%が最も高く、10代の31.4%が最も低くなっています。ストラテジとマネジメントの分野は仕事の経験がそのまま得点になるため、年齢を重ねた人のほうが有利な試験です。

ITパスポートに落ちる人はどのくらいの点数ですか?

令和8年7月分では、不合格だった9,609人のうち5,007人(52.1%)が500〜599点でした。550〜599点に限っても2,679人(27.9%)で、落ちた人の4人に1人はあと50点未満です。300点未満は201人で、不合格者の2.1%にすぎません。

最後に、この試験を通過点にしている人へ。ITパスポートは、受かっても受からなくても、IT技術者としての入口には立てません。IT以外の会社の人が半分以上受かる試験だからです。

IT転職の材料にするなら、次は基本情報技術者です。ただしあちらは合格率38%で、文系大卒の社会人は32.7%。科目Bのアルゴリズムで詰まる人が多く、独学で参考書を最初から読み直す繰り返しになりがちです。

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合格率48.6%の難しさは、問題の難しさではなく範囲の広さでした。
落ちた人の半分はあと100点以内にいて、捨てた分野を1つ戻せば、その半分は受かる側に移ります。

参考出典:IPA 独立行政法人情報処理推進機構「ITパスポート試験 統計情報」(推移表・年齢別一覧表・最終学歴別一覧表・在学中の学校等一覧表・試験結果、令和8年7月分)/「ITパスポート試験 評価点分布(総合)令和8年7月分」「ITパスポート試験 出題範囲・合格基準」

合格率はいずれも受験者数を分母とした値です。得点分布は令和8年7月分(受験者18,586人)、年齢別・学歴別・社会人と学生の内訳は令和8年度4〜7月分(受験者71,997人)の累計で、年度合計とは異なります。年齢帯の集計は当編集部が1歳刻みの一覧表から算出しました。不合格者に占める割合や合格者に占める割合も当編集部が算出しています。出題範囲や合格基準は変更されることがあるため、受験前にIPAの公式サイトでご確認ください。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)に基づくため、申込前に必ずご確認ください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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