AIエンジニアとは何か。AIを実装できる開発者が「不足」の企業は49.9%、「自社には必要ない」も40.7%あった

自宅の木の机を真上から写したフィルム写真風の画像。モニターに折れ線グラフが映り、開いたノートに「学習 3回目 正解率 92%」と手書きで書き込んでいる手元が写っている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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AIが広がれば、AIエンジニアはどの会社でも引っ張りだこになる。そう言われることがあります。

情報処理推進機構(IPA)が2026年7月に公表した「DX動向2026」を見ると、AIを使ったシステムを実装できる開発者が「不足している」と答えた企業は49.9%でした。

一方で、「自社には必要ない」と答えた企業も40.7%ありました。

AIエンジニアとはどんな仕事で、どこで求められているのか。厚生労働省の職業情報と、国や業界団体の資料で確かめます。

AIエンジニアとは、何をする人か

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、AIエンジニアの仕事をこう説明しています。

AI(人工知能)の様々な分野での活用に関して研究開発を行う。厚生労働省 job tag「AIエンジニア」

job tagは、データサイエンティストを含める場合もあるとしたうえで、ここでは狭い意味のAIエンジニアである「機械学習のエンジニア」を解説する、と書いています。

応用先の例は、顔認証、病気の画像診断、自動運転、異常の検知などです。

仕事の流れは、開発の目標と計画を決め、データを確かめて設計し、AIを実装する、という順です。

受託で開発する会社では、依頼元から要件も聞きます。並行して、教師データでAIに学習させる仕組みと、データの管理・加工の方法を設計します。

学習させたあとは、テストデータを使い、さまざまな分野の専門家と一緒に検証します。納めたあとも、運用の中で集まるデータでAIを育てていきます。

薄暗い読影室で、白衣の医師が胸部のレントゲン画像に付いたオレンジ色の枠を指さし、ノートパソコンを持ったエンジニアの女性がその画面を見ているフィルム写真風の画像

job tagが挙げる21のタスクのうち、働く人が重要だと答えた度合いがいちばん高いのは、「データに合った、AI開発の方向性を検討する」でした(5点満点で3.7点)。

国の職業分類(厚生労働省編職業分類・令和4年改定)では、AIエンジニアは「010-99 その他の情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発を除く)」に例示されています。

同じ項目には、データエンジニアや、脆弱性診断のセキュリティエンジニアも並んでいます。

IPAのデジタルスキル標準(ver.2.0)には、「AIエンジニア」という名前のロールはありません。

AIの実装・運用や機械学習のスキルが最も求められているのは、データサイエンティスト類型の「データサイエンスプロフェッショナル」です。

仮説:AIエンジニアは、どの会社でも足りていない

AIエンジニアが足りないという話には、根拠があります。

経済産業省が2019年に公表した委託調査は、AI人材の需給のギャップを、2018年に3.4万人と試算していました(学術・研究機関の研究者は含まない)。

2030年は、AIの需要が平均的に伸びれば12.4万人に広がり、伸びが低ければ1.2万人まで縮む、としています(どちらも生産性が年0.7%上がる前提)。

job tagも、AIエンジニアの需要は「極めて高い」と書き、実績のあるAIエンジニアの中途採用と、優秀な大学院生・大学生の新卒採用は、どちらも争奪戦になっているとしています。

では、いまの企業に聞くと、どうなっているのか。

統計で確かめると:「必要ない」も4割あった

IPAの「DX動向」は、AIを活用したソフトウェアやシステムを実装できる「AI開発者」について、企業に充足の状況を毎年聞いています。

調査年度 不足している 自社には必要ない 十分・まあまあいる
2023年度 63.7% 29.4% 6.8%
2024年度 53.7% 40.7% 5.6%
2025年度 49.9% 40.7% 9.5%

回答はそれぞれ863社・1,513社・1,781社。「十分・まあまあいる」は「十分にいる」と「まあまあいる」の合計(当編集部の算出)。「2025年度」はIPAの呼び方で、調査の実施は2026年4〜6月。出典:IPA「DX動向2026」図表4-12

「不足している」は、2023年度から2025年度までの3回の調査で63.7%から49.9%に下がり、「自社には必要ない」は29.4%から40.7%に増えました。

AI開発者が「十分にいる」「まあまあいる」会社は、合わせても9.5%です。

米国と比べると差がはっきりします。2024年度の調査で、AI開発者を「自社には必要ない」と答えた企業は、日本が40.7%、米国が14.3%でした(IPA「DX動向2025」)。

業種によっても違います。2025年度の調査で「自社には必要ない」と答えた企業は、情報通信業では9.8%でしたが、製造業等で37.7%、金融業・保険業で38.0%でした。

サービス業では47.0%、卸売・小売業(運輸業などを含む区分)では48.4%です。一方、製造業等と金融業・保険業では、半数以上が「不足している」と答えています。

AIエンジニアの席は、どの会社にも同じようにあるわけではありません。業種によって、求める会社と求めない会社が大きく分かれています。

どんな人が、AIエンジニアになっているのか

job tagの「就業するには」は、特に学歴や資格は必要とされず、求められる要件や水準も明確でない、と書いています。

ただ、実際には、大学院で情報科学や工学・理学を学んだ修士・博士が多くを占め、次に学部卒が多い、ともあります。新卒採用では、研究の実績や国際学会での発表、AIのコンペでの入賞が評価されます。

中途では、データサイエンティストなど隣の分野から移る人もいる、と書かれています。

また、job tagは、人材の育成方法はまだ確立しておらず、大学で学んだ専門知識や個人のポテンシャル、ひらめきが新しい発明につながることも多いとして、こう書いています。

開発する力は年齢や経験年数と必ずしも比例しない。厚生労働省 job tag「AIエンジニア」就業するには

働いている人に、この仕事で多いと感じる就業形態を聞くと、「正規の職員、従業員」が68.6%、「自営、フリーランス」が17.1%でした(job tag、2025年の就業者へのWeb調査)。

複数回答とみられ、合計は100%を超えます。

フレックスタイム制やリモート勤務が多い、とも書かれています。job tagは、年齢は20歳代・30歳代が多いとしています。

AIの資格の合格者を見ると、40代以上もいます。日本ディープラーニング協会の「E資格」の2026年第2回の合格者712人のうち、20代は43.3%、30代は28.8%、40代は14.8%、50代は9.0%でした。

日本ディープラーニング協会の「E資格」の2026年第2回の合格者712人のうち、20代は43.3%、30代は28.8%、40代は14.8%、50代は9.0%でした。

合格者の業種は、ソフトウェア業(25.4%)と情報処理・提供サービス業(19.8%)が多い一方で、製造業も14.9%ありました。IT以外の業種で働く合格者は、合わせて27.2%でした(当編集部の算出)。

IT以外の業種から合格する人もいるように、AIに近づく入口は1つではありません。ただ、どの入口から入るにしても、機械学習の仕組みを自分の手で一度動かしてみる必要があります。

job tagも、求められる要件や水準はまだはっきりしない、と書いていて、何から手をつけるかで迷いやすい仕事です。

Winスクールの「Python+データ分析・AIコース」には、「AIプログラマ」というセットコースがあります。

Pythonプログラミングと、「AIプログラミング実習(機械学習&Deep Learning)」を組み合わせたコースです。

実習では、PyTorchやscikit-learnを使って、手書き文字認識や画像認識のシステムを作ります。

全国の教室とオンラインで個人レッスンを受けられるので、止まった所をその場で講師に聞きながら、実習を進められます。

無料のカウンセリング・受講相談(約1時間)から始められます。教室で受ける場合は、授業の様子も見学できます。コースの内容・料金・給付金などの対象は、公式サイトで確認してください。

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AIエンジニアの年収は、どれくらいか

AIエンジニアだけの年収を集計した国の統計はありません。

job tagの年収データは、AIエンジニアを含む〈設計・構築〉の区分の値で、厚生労働省が2023年に行った委託調査(IT・デジタル関連職種の2,000人へのWebアンケート)によるものです。

スキルのレベル 年収の中央値 回答数
レベル1〜2 500.0万円 187
レベル3 550.0万円 258
レベル4 635.0万円 288
レベル5以上 700.0万円 186

ITスキル標準(ITSS)のレベル別。年収は回答者が答えた今年度の見込み年収。〈設計・構築〉にはAIエンジニア以外の職種も含まれる。出典:厚生労働省「『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査』における個人アンケート調査について」(job tag掲載)

レベル1〜2からレベル5以上まで、中央値の差は200万円でした。job tagは、成果に基づく報酬とは馴染まないことが多く、正社員は通常の月給制が多い、とも書いています。

IT職種21個の求人倍率と年収の区分は、こちらで並べました。

ITエンジニアとはどんな仕事か。厚労省の職業情報にあるIT職種21個を求人倍率で並べたら、0.11倍から8.91倍まで開いていた

何から学べば、AIエンジニアに近づけるか

job tagは、ディープラーニングなど機械学習の手法に精通していること、Pythonなどを使いこなせること、データ分析の技術やツールを十分に使えることを挙げています。

資格では、日本ディープラーニング協会のE資格があります。受けるには、協会の認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了している必要があります。

2026年第2回は、受験者1,062人のうち712人が合格し、合格率は67.04%でした。

E資格は2026年第2回から新しいシラバスになり、大規模言語モデル(LLM)の項目が加わりました。

IPAも、2027年度から新しい試験制度に移る予定です。

新設される「プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)」の知識の例には、機械学習、ディープラーニング、生成AIの技術、AIエージェントの技術が並んでいます。

ただし、2026年3月時点の案で、変わる可能性があります。

未経験からAIエンジニアを目指す道のりは、別の記事で扱いました。AIエンジニアはやめとけと言われる理由も、あわせてどうぞ。

未経験からAIエンジニア

AIエンジニアはやめとけ?(売上が伸びた企業は3.9%だった)

いま開発や運用の仕事をしていて、AIの開発に移りたいなら、探し方に気をつける必要があります。job tagは、AIエンジニアはシステムエンジニアとは別の枠で採用されることが多い、と書いています。

TechGo(テックゴー)は、ITエンジニアの転職支援に特化した転職エージェントです。公式サイトの求人検索には、「データ・AI・先端技術」の職種の中に「AI・機械学習(LLM)エンジニア」があります。

だから、AIエンジニアの求人を職種で絞って相談できます。転職するか決めていない段階でも相談でき、面談は無料です。

対象は実務経験2年以上のITエンジニアです(未経験の方、学生の方は対象外です)。

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よくある質問

AIエンジニアとは簡単に言うと何ですか?

AI(人工知能)を様々な分野で活用するための研究開発をする仕事です。厚生労働省のjob tagは、狭い意味のAIエンジニアを「機械学習のエンジニア」として解説していて、データを確かめて設計し、AIを実装して、教師データで学習させ、専門家と一緒に検証する流れを示しています。

AIエンジニアは本当に不足していますか?

IPAの「DX動向2026」では、AIを使ったシステムを実装できるAI開発者が「不足している」企業は49.9%で、2023年度の63.7%から下がりました。一方で「自社には必要ない」は40.7%です。情報通信業では「必要ない」が9.8%にとどまるなど、業種によって大きく違います。

AIエンジニアの年収はいくらですか?

AIエンジニアだけの国の統計はありません。job tagに載っている厚生労働省の委託調査(2023年)では、AIエンジニアを含む〈設計・構築〉区分の年収の中央値が、ITスキル標準のレベル1〜2で500万円、レベル5以上で700万円でした。

AIエンジニアになるのに資格は必要ですか?

job tagは、特に学歴や資格は必要とされないとしていて、「関連資格」の欄も「関連する資格はありません」です。AIの実装に関わる民間の資格としては、日本ディープラーニング協会のE資格があり、2026年第2回の合格率は67.04%でした。受験には協会の認定プログラムの修了が必要です。

AIを作る人を「自社には必要ない」とする会社は、3回の調査で3割から4割に増えた。
学歴は条件ではないが、大学院で学んだ人が多い仕事。まず機械学習を自分の手で動かすところから始めたい。

参考出典
厚生労働省job tag「AIエンジニア」・「『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査』における個人アンケート調査について」・厚生労働省編職業分類(令和4年改定)
情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」・「DX動向2025」・「デジタルスキル標準 ver.2.0」・「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案(Ver.1.0)」
経済産業省「IT人材需給に関する調査」調査報告書(2019年3月)
日本ディープラーニング協会「2026年 第2回 E資格(エンジニア資格)」結果発表・「E資格とは」

「AIエンジニア」は国の統計の区分になく、年収は〈設計・構築〉区分の値です。IPAの「DX動向」は企業への調査で、年度ごとに回答企業が違います。job tagの学歴・就業形態などは就業者へのWeb調査の結果です。試験の内容は2026年9月時点の公表情報で、変わる可能性があります。サービス内容は2026年9月時点の各公式サイトの記載です。申し込みの前に、最新の内容を公式サイトで確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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