ITエンジニアとはどんな仕事か。厚労省の職業情報にあるIT職種21個を求人倍率で並べたら、0.11倍から8.91倍まで開いていた

人材紹介会社の面談ブースをホワイトボードの正面から描いたフレスコ画風のイラスト。ホワイトボードの「ITエンジニア」の文字に赤い横線が引かれ、その下から枝分かれの線が伸びている。手前に座った求職者の後ろ姿と、マーカーを持つキャリアアドバイザーの後ろ姿 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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面談で「ITエンジニアになりたい」と言う人に、最初に返していた質問があります。どのエンジニアですか、です。

答えられる人は少なくて、それは当然でした。

国の職業情報に、ITエンジニアという1つの職業はありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)がIT関連の仕事として並べている職業のうち、ソフトウェア・Web・SIerで働く職業だけで21あります。

この記事では、その21職業を同じ物差しで並べます。物差しは、求人倍率、求人賃金、入職前の実務経験がいらないと考える人の割合、の3つです。

ITエンジニアとは、何をする人か

job tagの「IT・通信の仕事」は、IT業界を大きく5つに分けています。ソフトウェア分野、ハードウェア分野、通信サービス分野、インターネット分野、SIer・SES分野。

この記事で扱うのは、そのうちソフトウェア、インターネット、SIer・SESで働く職業です。

21職業には、コードを書く人(プログラマー、Webサービス開発SE)、設計する人(受託開発SE、基盤システムSE)、止めない人(運用・管理、セキュリティ)、確かめる人(デバッグ、ヘルプデスク)。

決める人(プロジェクトマネージャ、ITコンサルタント)、データを扱う人(データサイエンティスト、データエンジニア、AIエンジニア)、見た目を作る人(Webデザイナー、UX/UIデザイナー)、売る人(営業)が入ります。

※プロジェクトマネージャと混同されやすいPMOとの違いは、国の資料で別に確かめました。PMOとは何か

ITエンジニアとは、この全部の総称です。だから、なりたい仕事は「ITエンジニア」ではなく、21のどれかで決まります。

IT以外も含めたエンジニア全体、国の分類でいう技術者269万人のうち、IT技術者は半分近くの125万人です。その数え方は別に書きました。

エンジニアとは何をする人か。国の職業分類で269万人を数えたら、半分近くがIT技術者で、求人がいちばん余っているのは建設だった

21職業を、求人倍率で並べる

先に、いちばん開いている2つを置きます。

8.91倍データサイエンティスト。求職者1人に求人が約9件
〜
0.11倍Webデザイナー。求職者9人に求人が1件

同じ「ITエンジニア」の中で、席の数は81倍違います。21職業すべてを、倍率の高い順に並べました。

職業 求人倍率 求人賃金 経験不要
3倍以上
データサイエンティスト 8.91倍 29.6万 42.6%
組込み・IoT SE 4.26倍 35.6万 36.0%
営業(IT) 3.82倍 30.3万 48.7%
1倍以上3倍未満
Webサービス開発SE 2.54倍 36.4万 27.5%
スマホアプリ開発 2.54倍 36.4万 35.7%
パッケージ開発 2.54倍 36.4万 35.6%
受託開発SE 2.54倍 36.4万 33.3%
基盤システムSE 2.24倍 35.3万 38.6%
セキュリティ(運用) 2.2倍 31.8万 35.7%
運用・管理 2.2倍 31.8万 36.7%
UX/UIデザイナー 2.07倍 34.4万 50.0%
デバッグ 2.07倍 34.4万 46.9%
AIエンジニア 1.96倍 32.7万 30.3%
データエンジニア 1.96倍 32.7万 39.5%
プロジェクトマネージャ 1.6倍 40.4万 21.6%
ヘルプデスク 1.36倍 29.0万 54.9%
1倍未満
プログラマー 0.98倍 33.9万 37.5%
DXプロデューサー 0.88倍 36.1万 33.3%
ITコンサルタント 0.88倍 36.1万 31.8%
Webディレクター 0.39倍 28.8万 40.0%
Webデザイナー 0.11倍 28.2万 39.6%

求人倍率と求人賃金(月額・万円)は令和7年度のハローワーク求人統計を、各職業が属する統計区分ごとにjob tagが加工した値。同じ区分の職業は同じ値になる(受託開発・Webサービス開発・パッケージ・スマホアプリはすべて「ソフトウェア開発技術者(WEB・オープン系)」の区分)。「経験不要」は、その職業で働く人のうち、入職前の実務経験は特に必要ないと考える人の割合。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)各職業ページ

3倍以上は3つ。データサイエンティスト8.91倍、組込み・IoTのSE4.26倍、営業3.82倍。受託開発とWebサービス開発のSE、基盤システムSE、運用・管理は2倍台に並びます。

1倍を切るのは5つ。プログラマー0.98倍、ITコンサルタント0.88倍、DXプロデューサー0.88倍、Webディレクター0.39倍、Webデザイナー0.11倍。プログラマーは、1人に1件ありません。

プログラマーの年収の区分はSEと同じ578.5万円ですが、求人統計の分類は「プログラマー」で別に数えられていて、倍率がSEの2.54倍と違います。

表のいちばん上、8.91倍のデータサイエンティストは、求人賃金が下から4番目でもあります。その理由は別に書いています。

データサイエンティストとはどんな仕事か。求人倍率は8.91倍で最多、なのに求人賃金は29.6万円で下から4番目だった

入口は、どこに開いているか

オフィスの社内ヘルプデスクのカウンターで、ヘッドセットをつけた担当者が社員の持ってきたノートPCの画面を確認しているフレスコ画風のイラスト。後ろの棚に貸し出し用のノートPCとLANケーブルの束

右端の列が、入口の広さです。入職前の実務経験は特に必要ない、と考える人の割合。高い順に、ヘルプデスク54.9%、UX/UIデザイナー50.0%、営業48.7%、デバッグ46.9%、データサイエンティスト42.6%。

低い順に、プロジェクトマネージャ21.6%、Webサービス開発SE27.5%、AIエンジニア30.3%、ITコンサルタント31.8%。

決める側と、自分でコードを書く側は、経験を求めます。確かめる側、答える側は、求めません。

倍率と重ねると、席が多くて入口も広い職業が見えます。営業(3.82倍・48.7%)、デバッグ(2.07倍・46.9%)、ヘルプデスク(1.36倍・54.9%)、運用・管理(2.2倍・36.7%)。

このうちデバッグは、職業別名にQAエンジニアが入っている職業です。16のタスクと、未経験からの入り方は別に書きました。

QAエンジニアとは、バグを直す人ではなかった。厚労省の16タスクで自分で直す人は42.6%、仕事の中心は見つけて伝えること

データサイエンティストは8.91倍で42.6%ですが、求人賃金が29.6万円で21職業の下から4番目です。

※ヘルプデスクに近いテクニカルサポートの仕事と、国の分類での扱いは、「テクニカルサポートとは何か」で確かめました。

資格が名指しされている職業

job tagの関連資格の欄に資格が載っているのは、21職業のうち10だけです。多い順に、ヘルプデスク11個、運用・管理7個、基盤システムSE5個、セキュリティ4個。

営業、受託開発SE、プロジェクトマネージャが2個、プログラマー、データエンジニア、Webデザイナーが1個。

AIエンジニア、データサイエンティスト、ITコンサルタント、UX/UIデザイナー、Webサービス開発SEなど残りの11は「関連する資格はありません」。資格が置いてあるのは、入口の側の職業でした。

求人票の職種欄には、この21のどれであっても「ITエンジニア」「エンジニア」と書けます。倍率が0.11倍の席と8.91倍の席が、同じ言葉で並んでいます。

ユニゾンキャリアはIT・Web業界専門の転職エージェントで、IT業界が未経験の人の転職も支援しています。

だから、いま出ている未経験求人が、上の表のどの行に当たるのかを、応募する前に担当者を通して確かめられます。

「ITエンジニア」の1語で応募先を選ぶ代わりに、倍率と入口の広さが分かっている行から選べます。面談は無料です。

対象は20代・高卒以上で、東京・埼玉・神奈川での就業を希望する方です(居住地は問いません)。

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年収は、7つの区分に分かれる

job tagの年収は、職業ごとではなく、属する統計区分の値です。21職業は7つの区分に分かれます。

889.0万円の区分に、プロジェクトマネージャ、ITコンサルタント、DXプロデューサー、基盤システムSE。659.4万円に営業。611.9万円にデータサイエンティスト。

609.8万円に運用・管理、セキュリティ、ヘルプデスク、AIエンジニア、データエンジニア。583.3万円にWebディレクター。

578.5万円にSEの3種類、プログラマー、パッケージ、スマホアプリ、デバッグ、UX/UIデザイナー。539.6万円にWebデザイナー。

区分の値なので、同じ区分にいる職業の差は見えません。見えるのは求人賃金のほうです。

プロジェクトマネージャ40.4万円、SE36.4万円、ITコンサルタント36.1万円、組込み・IoT35.6万円、基盤システム35.3万円。

下は、ヘルプデスク29.0万円、Webディレクター28.8万円、Webデザイナー28.2万円。上下の差は月12.2万円です。

SEが入る578.5万円と889.0万円の区分が、年齢と会社の規模でどう変わるかは、別に書いています。

SEの年収は578万か889万か。国の統計にシステムエンジニアという職種はない

どうやってなるのか

21職業とも、入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない、と書かれています。

働いている人に多い学歴として大卒を挙げた割合は、DXプロデューサー95.2%からデバッグ34.7%まで開きます。運用・管理63.3%、ヘルプデスク60.8%、Webデザイナー45.3%。

職業ごとの入り方は、それぞれのハブに分けて書きました。SEは4種類のうち2種類だけが自分でコードを書き、インフラは守る側に入口が開き、Webデザイナーは8割がコードも書き、ITコンサルタントは16タスクを全部やる人です。

システムエンジニアとはどんな仕事か。4種類のうち自分でコードを書くのは2種類だけだった
インフラエンジニアとはどんな仕事か。守ると作るの2職業で、入口は守る側だった
Webデザイナーとはどんな仕事か。8割が自分でコードを書き、9割が文章も書いていた
Webエンジニアとはどんな仕事か。厚労省の31タスクを見たら、作るより直す仕事で、ネット業界の売上の8割超はサービスを動かす側にあった
ITコンサルタントとは何をする仕事か。戦略もシステムも法務も全部やる人だった

プログラマーの13タスクと、席の数(求人倍率0.98倍)は、こちらに分けて書いています。

プログラマーとはどんな仕事か。13タスクを見たら、書くだけの人ではなく、見積もりも設計書も自分で出す人だった

job tagには、バックエンドエンジニアという職業もありません。国のスキル標準に書かれた役割と、データベースとSQLから入る道筋は、「バックエンドエンジニアとは何か」に書きました。

よくある質問

ITエンジニアとはどんな仕事ですか?

ソフトウェアやWebサービス、ITインフラの企画・設計・開発・運用に関わる職業の総称です。厚生労働省のjob tagに「ITエンジニア」という職業はなく、プログラマー、システムエンジニア、運用・管理、データサイエンティストなど、ソフトウェア・Web・SIerの職業だけで21に分かれています。

ITエンジニアの種類はいくつありますか?

厚生労働省のjob tagがIT関連の仕事として載せている職業のうち、ソフトウェア・Web・SIerで働く職業は21あります。コードを書く、設計する、止めない、確かめる、決める、データを扱う、見た目を作る、売る、の8つの役割に分かれます。有効求人倍率はデータサイエンティスト8.91倍からWebデザイナー0.11倍まで、81倍の幅があります。

ITエンジニアは未経験でもなれますか?

職業によります。入職前の実務経験は特に必要ないと考える人の割合は、ヘルプデスク54.9%、UX/UIデザイナー50.0%、営業48.7%、デバッグ46.9%が高く、プロジェクトマネージャ21.6%、Webサービス開発SE27.5%、AIエンジニア30.3%が低い。21職業とも入職に必須の学歴・資格はありません。

ITエンジニアの年収はいくらですか?

job tagの統計区分の値では、プロジェクトマネージャ・ITコンサルタント・基盤システムSEの区分が889.0万円、運用・管理やAIエンジニアの区分が609.8万円、SEやプログラマーの区分が578.5万円、Webデザイナーが539.6万円です。求人賃金は月額でプロジェクトマネージャ40.4万円からWebデザイナー28.2万円まで、月12.2万円の差があります。

表の上のほうの席は、自分でコードを書く側と設計する側に多く、経験を求めます。下のほうの入口の広い席から入って上へ移るか、書く力を先に持って上から入るか。順番は2つあります。

Winスクールは全国に教室があり、オンラインにも対応した個人レッスンのスクールです。Webエンジニア、システム開発エンジニア、Webデザイナーの就職・転職コースがあります。

だから、上の表で経験を求めていた行に、書く力を持ってから応募できます。21の席のうち、経験不要の行だけでなく、倍率2倍台の書く側の行にも応募先を広げられます。受講相談は無料です。

\ 受講相談は無料です /

ITエンジニアという席はありません。
あるのは、0.11倍から8.91倍までの21の席です。

参考出典
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)IT・通信の仕事・IT関連の仕事(業界別)・各職業ページ(データサイエンティスト、システムエンジニア4職業、プログラマー、運用・管理(IT)、ヘルプデスク(IT)ほか計21)
厚生労働省「ハローワーク求人統計」令和7年度/「令和7年賃金構造基本統計調査」(いずれもjob tagの加工値)

求人倍率・求人賃金・年収は各職業が属する統計の区分の値で、職業そのものの値ではありません。同じ区分の職業は同じ値になります。「経験不要」「学歴」は、その職業で働く人へのアンケート結果で、学歴は複数回答です。関連資格の数はjob tagの関連資格欄に載っている資格の数です。21職業の選び方は当編集部によるもので、job tagのIT関連の一覧から、機械設計・電子機器などのハードウェア系、電気通信技術者、Webマーケティング、情報工学研究者と、働く人へのアンケートデータがないセキュリティエキスパート(脆弱性診断)を除いています。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)を確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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