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フリーランスエンジニアを調べると、単価80万円の話と「末路」という言葉が同時に出てきます。どちらが本当なのか。
国が7,188人に聞いた調査があったので、そこから確かめました。
売上300万円未満が半数近い
内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁が合同で実施した、フリーランスの実態調査です。全業種が対象で、集計数は7,188名。
出典:内閣官房新しい資本主義実現会議事務局・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和3年度フリーランス実態調査結果」Q10(n=7,188)
色を付けた3行と、その小計が300万円未満にあたります
46.3%売上300万円未満だった人の割合「わからない・答えたくない」を除いた回答者6,072名で計算すると54.9%になります
ここで売上高と書かれている点が重要です。設問は「受け取った報酬の総額」で、経費を引く前の金額を聞いています。
ここから機材費や交通費が出ていきます。さらに国民健康保険、国民年金、所得税、住民税。会社員なら半分を会社が払っていた保険料も、全額が自分持ちになります。
手元に残る額は、この表よりさらに下です。
単価80万円の話はどこへ行ったのか
もちろん、この調査はエンジニアだけを対象にしたものではありません。全業種が混ざっています。
ただ1000万円以上は5.3%です。エンジニアが上振れしやすい職種だとしても、この分布の右端がそれほど厚くないことは頭に入れておく必要があります。
案件紹介サイトに並ぶ単価は、成立した案件の金額です。そこに届かなかった人と、届いたあと続かなかった人は、数字に出てきません。
実際に起きたことは、報酬より前の段階にある
同じ調査で、取引の中で経験したトラブルも聞いています。複数回答です。
出典:同調査。複数回答で、「特に経験したことはない」が60.8%
逆に言えば、4割近くが何らかのトラブルを経験しています。単価が高いか低いか以前に、決まった額が期日に入るかどうかが揺れる。ここが会社員との最大の違いです。
会社員なら、案件が減っても給与は出ます。フリーランスは、案件が減った月がそのまま収入に出ます。
2024年に、この4割が法律の対象になった
ここまでの数字は2021年の調査です。その後、状況がひとつ変わりました。2024年11月にフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されています。
トラブルの中身が、そのまま禁止行為になった
さきほど見たトラブルのうち、報酬の支払遅延と、著しく低い報酬の一方的な決定は、発注側の禁止行為として明記されました。報酬は物品等を受け取った日から60日以内に支払うことが義務づけられています。
加えて、取引の条件を書面などで示すことも義務になりました。何をいくらでいつまでに、が口頭のまま進む状態そのものが、法律違反になったということです。
1年で1,552件が処理されている
公正取引委員会が、施行後の運用状況を公表しています。令和7年度に新規着手した違反被疑事件は1,626件。処理した1,597件のうち、1,552件で勧告または指導が行われました(勧告10件、指導1,542件)。
違反の内訳は、上位2つが拮抗していました。
義務違反41.6%
義務違反41.3%
令和7年度の違反行為類型別。3位は買いたたきの250件(9.2%)。出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況及びフリーランスに係る取引の適正化に向けた取組」(令和8年6月10日公表)
2021年の調査で本人が申告していたトラブルが、いまは行政が処理する案件として積み上がっています。同じ年度に、発注側から受注側へ総額1,734万円の原状回復も行われました。
ただし、動くのは自分
数字をもう一度見ると、申出は604件でした。新規着手が1,626件なので、申出以外の端緒で動いた分のほうが多い計算になります。それでも、自分の取引について申し出るかどうかは、最後は本人が決めることです。
会社員なら、案件が減っても給与は出ます。振れ幅そのものの構造は、法律では変わっていません
「やめとけ」と言われる理由のうち、買い叩かれる・払われないという部分には、いま歯止めがあります。残っているのは、来月の予定が立たないという部分のほうです。ここは制度ではなく、働き方の選び方で決まります。
案件を探すのではなく、働き方ごと選び直す
フリーランスを続けるかどうかを、単価だけで決める必要はありません。収入の振れ幅に疲れているなら、それは技術の問題ではなく働き方の問題です。
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対象の条件 エンジニア経験者の方が対象です(実務未経験の方は対象外)。就職先は東京・大阪エリアが対象になります。
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末路と呼ばれる状態の正体
この構造を踏まえると、末路という言葉が何を指しているかが見えてきます。仕事がなくなることではありません。
単価は下がっていないのに、月ごとの振れ幅に耐えられなくなって戻る。これがいちばん多い形でした。人材紹介にいた頃、フリーランスから正社員に戻る相談は何度も受けました
相談に来た人が口を揃えて言ったのは、稼げなかったという話ではありません。来月の予定が立たないことに疲れたという話でした。
家族ができた、住宅ローンを組みたい、体調を崩した。そういう出来事が起きたときに、収入が読めない状態が急に重くなります。
なお働く場所という点では、IT業界のテレワーク導入率は94.3%で、全産業のほぼ2倍です。フリーランスでなくても在宅は選べます。
戻るときに困るのは、技術ではない
正社員に戻る相談で実際に詰まったのは、技術力ではありませんでした。職務経歴書です。

フリーランス期間の実績は、案件単位で断片化しています。守秘義務で社名を書けないものもある。何をどこまで担当したかを説明しにくい状態になりがちです。
逆に、案件を選ぶときに設計や要件定義まで関わる仕事を残していた人は、戻る先に困っていませんでした。同じ構造はSESから抜け出す話でも書きましたが、実績の中身が次を決めます。
よくある質問
フリーランスエンジニアはやめとけと言われるのはなぜですか?
収入の振れ幅と、取引上のトラブルの2つが理由でした。ただし後者は2024年11月のフリーランス法施行で状況が変わっています。公正取引委員会の令和7年度の運用状況では、違反被疑事件1,597件を処理し、1,552件で勧告または指導が行われました。内訳は報酬支払期日義務違反が1,135件(41.6%)、取引条件明示義務違反が1,126件(41.3%)です。一方で、案件が減った月がそのまま収入に出るという構造は法律では変わっていないため、「やめとけ」が残るとすれば、来月の予定が立たないことに耐えられるかどうかの部分です。
フリーランスエンジニアの末路は本当に悲惨ですか
悲惨という表現は実態と合いません。ただし国の調査では、フリーランス全体の46.3%が直近1年間の売上高300万円未満でした。これは経費を引く前の金額で、ここから社会保険料や税金も支払います。単価の高い案件だけを見て判断するのは危険です。
フリーランスの平均年収はいくらですか
令和3年度の国の調査では、売上高100万円未満が21.5%、300万円未満が合計46.3%、1000万円以上は5.3%でした。全業種が対象の調査であり、エンジニアだけの数字ではありません。また設問は売上高であって手取りではありません。
フリーランスで多いトラブルは何ですか
同じ調査では、発注が減った・なくなったが6.5%、報酬の支払い遅延が4.9%、著しく低い報酬を一方的に定められたが4.9%でした。特に経験したことはないが60.8%なので、逆に4割近くが何らかのトラブルを経験しています。
フリーランスから正社員に戻れますか
戻れます。ただし職務経歴書の書きにくさで詰まる人が多く見られます。案件単位で実績が断片化し、守秘義務で社名を書けない場合もあるためです。設計や要件定義まで関わった案件を残しておくと説明しやすくなります。
フリーランスに向いているのはどんな人ですか
収入が月ごとに変動しても生活と精神が揺れない人です。相談を受けた範囲では、稼げないことより来月の予定が立たないことに疲れて戻る人が多くいました。家族の状況や健康状態が変われば、同じ人でも向き不向きは変わります。
続けるか戻るかを、提示された条件を見てから決める
ここまでの数字は、フリーランスという働き方そのものを否定するものではありません。向いている人は続いています。ただ比べる相手がいない状態で決め続けるのが、いちばん消耗します。
strategy careerは、エンジニア経験者に特化した転職エージェントです。扱う求人が経験者の中途採用に絞られているので、いまの実務経験だと雇用側でいくら提示されるのかが、実際の求人で分かります。金額を知ったうえでフリーランスを続けるなら、それは迷いではなく選択になります。戻る前提で動く必要はありません。手元に比較材料を持っておく、という使い方ができます。
対象の条件 エンジニア経験者の方が対象です(実務未経験の方は対象外)。就職先は東京・大阪エリアが対象になります。
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雇用の側に戻る場合も、多重下請けの構造からは逃れられません。SIerはやめとけと言われる理由で、階層ごとの実態を公取委の調査から整理しています。
※ 数値は内閣官房新しい資本主義実現会議事務局・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和3年度フリーランス実態調査結果」(調査時期2021年7〜8月・集計数7,188名)に基づきます。本調査は全業種のフリーランスが対象で、エンジニア職に限定した統計ではありません。またWEBモニターを用いたインターネット調査であり、回答者の偏りが生じる可能性があります。売上高の設問は経費控除前の金額を尋ねたもので、手取り額ではありません。トラブルの割合は複数回答です。正社員への復帰やキャリアに関する記述は、筆者が人材紹介に在籍した期間の見聞に基づく整理であり、統計ではありません。フリーランス法の運用状況は公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況及びフリーランスに係る取引の適正化に向けた取組」(令和8年6月10日公表)によります。件数は違反被疑事件の処理件数であり、確定した違反の件数ではありません。法律の適用範囲や要件は個別の取引によって異なるため、実際の判断は公正取引委員会の窓口等でご確認ください。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年8月時点)に基づくため、申込前に必ずご確認ください。


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