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SEの年収を調べると、400万台から800万台まで、まったく違う数字が出てきます。
理由は単純でした。国の統計に「システムエンジニア」という職種は存在しません。
統計上、SEは2つに分かれている
厚生労働省の賃金構造基本統計調査を開くと、SEにあたる区分は2つあります。呼び名は同じでも、数字がまるで違います。
77,926人
14,905人
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別。産業計・企業規模10人以上・男女計。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で算出
178万円同じSEでも、区分が違うと年収がこれだけ変わるしかも人数はソフトウェア作成者が5.2倍多いので、平均年収と言われて出てくるのはたいてい574万円のほうです
コードを書く側がソフトウェア作成者、何を作るか決める側がシステムコンサルタント・設計者です。求人票ではどちらも「SE募集」と書かれます。
同じ表には残業時間も載っています。作成者が月11時間、設計者が月15時間で、144職種の中でどの位置にあるかはシステムエンジニアはやめとけ?で並べました。
雇われ方が派遣の場合は、賃金の水準が別の統計で公表されています。情報処理・通信技術者の派遣賃金は8時間で21,032円、派遣料金は34,382円で、SESはやめとけ?で派遣とSESの違いとして整理しました。
だから調べるほど数字がばらつきます。自分がどちらの数字を見ているのかを、まず確かめる必要があります。
年齢別に並べると、分かれ目が見える
2つの区分を年齢階級ごとに並べました。
出典:同調査。作成者=ソフトウェア作成者、設計者=システムコンサルタント・設計者。色を付けた行が差の開く年代
20代前半では85万円の差です。それが40〜44歳で254万円まで開きます。
作成者側は40〜44歳で650.5万円に乗ったあと、45〜49歳の738.0万円まで伸び方が鈍ります。一方の設計者側は35歳から40代前半にかけて一気に上がる。30代後半が分岐点です。
作る側の内訳はプログラマーの年収を年齢別に見た記事にまとめました。40歳前後で伸びが3%まで落ちる踊り場があります。
差がつくのは技術力ではない
この2つを分けているのは、コードが書けるかどうかではありません。決める側にいるかどうかです。
作る人の評価は、成果物で決まる
仕様が決まったあとに、それを形にする。速さと正確さで評価されますが、上限は工数で決まります。1人が1ヶ月にできる量には限りがあるからです。
決める人の評価は、影響範囲で決まる
何を作るか、どう作るか、いくらかけるかを決める。判断が10人分の仕事を左右するので、報酬が人数に連動します。ここが上限の違いです。
同じ現場にいても、仕様を受け取る側と、仕様を書く側では、値段の決まり方が違いました。人材紹介にいた頃、年収が跳ねた人は例外なく後者に移っていました
会社の規模と学歴の関係は、高卒でエンジニアは厳しいかのほうで別の角度から見ています。情報通信業では学歴による年収差が、産業全体の2.3分の1に縮んでいました。
この構造はお金の流れで整理した記事でも書きました。商流の位置と、決める側かどうか。年収を決めているのはこの2つです。
職種より大きい差が、もうひとつある
ここまでは職種の話でした。作る側574万円、決める側752万円で、差は178.5万円です。
ただ、同じ調査をもう一段ほどくと、これより大きい差が出てきます。会社の規模です。
| 企業規模 | 年収 | 労働者数 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 733.6万 | 46.5万人 |
| 100〜999人 | 597.9万 | 45.9万人 |
| 10〜99人 | 530.1万 | 26.8万人 |
1,000人以上と10〜99人の差は203.5万円。職種の差178.5万円より、25万円大きいことになります。
落ち方も一定ではありません。1,000人以上から100〜999人で135.7万円落ち、そこから10〜99人までは67.8万円です。最初の一段がいちばん大きい。
ただし、規模だけで決まるわけでもない
不都合な数字も出します。この調査は職種ではなく産業(情報通信業)で括った数字なので、営業や事務など技術職以外も含みます。SEだけを取り出した規模別の数字ではありません。
それでも言えるのは、年収を決めている要素が職種の中だけにはないということです。前の章で「いまの会社にその機会があるかどうかは、努力より先に決まっている」と書きました。規模の数字は、その裏づけになっています。
とはいえ、いまの会社の規模も立ち位置も、自分では変えられません。変えられるのは、どこへ移るかだけです。
strategy careerはエンジニア経験者に特化した転職エージェントです。扱う求人が経験者の中途採用に絞られているので、いまの経歴がどちらの区分で評価され、どの規模の会社からいくらで提示されるのかを実際の求人で確認できます。574万と752万のどちらの側に見られているのかを、想像ではなく提示額で知れます。
対象はエンジニア経験者の方です(実務未経験の方は対象外)。就職先は東京・大阪エリアが対象になります。
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設計側に移るために要るもの
相談を受けてきた範囲で、移れた人に共通していたことが3つあります。
要件定義の場に同席した経験がある
議事録を取る役でも構いません。顧客がなぜその機能を欲しがったのかを聞いているかどうかで、職務経歴書の書ける中身が変わります。
見積もりを出したことがある
工数を積んで金額を出す作業です。ここを経験していると、決める側の会話に入れます。
下から2番目までの立場で提案したことがある
元請けの隣にいるか、三次請けにいるかで、そもそも提案の機会が回ってきません。いまの会社にその機会があるかどうかは、努力より先に決まっています。

3つ目が効きます。同じ能力でも、会社の立ち位置で経験できることが違うからです。
いまの年収が、どちらの区分で評価されているか
574万円と752万円は、努力量の差ではありません。どちらの区分で市場に評価されているかの差です。そして区分は、いる場所で決まります。
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規模の差は年収だけではありません。3年以内に辞める割合も、第二新卒とは何かで見たとおり5人未満と1,000人以上で2.13倍の開きがあります。
よくある質問
SEの平均年収はいくらですか
統計上「システムエンジニア」という区分はなく、2つに分かれています。令和6年賃金構造基本統計調査では、ソフトウェア作成者が574.1万円(平均38.0歳)、システムコンサルタント・設計者が752.6万円(平均41.4歳)でした。人数はソフトウェア作成者が5.2倍多いため、一般に語られる平均は前者に近くなります。
なぜ調べるサイトによって年収が違うのですか
どちらの区分を指しているかが揃っていないためです。178万円の差があるので、どちらを見るかで印象が変わります。求人票ではどちらも「SE募集」と書かれることが多く、区別されません。
年収の差はいつから開きますか
20〜24歳では85万円の差ですが、40〜44歳では254万円まで開きます。30代後半が分岐点で、設計者側は35歳から40代前半にかけて大きく上がる一方、作成者側は伸び方が鈍ります。
SEで年収1000万円は可能ですか
この統計の平均値では、最も高いシステムコンサルタント・設計者の40〜44歳でも904.4万円です。平均値なので個別には1000万円を超える人もいますが、職種の平均としては届いていません。
年収を上げるには何をすればいいですか
作る側から決める側に移ることです。相談を受けた範囲では、要件定義の場に同席した経験、見積もりを出した経験、提案の機会がある立ち位置の会社にいること、の3つが共通していました。特に3つ目は本人の努力より会社の商流上の位置で決まります。
※ 数値は厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別データ(産業計・企業規模10人以上・男女計)に基づき、「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で筆者が算出した推定年収です。同調査が年収として公表している値ではありません。残業代を含む金額であり、地域・企業規模・個人の経験により実際の金額は大きく異なります。職種の分類は同調査の区分によるもので、実際の職務内容と一対一で対応するとは限りません。設計側へ移る条件に関する記述は、筆者が人材紹介に在籍した期間の見聞に基づく整理であり、統計ではありません。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)に基づくため、申込前に必ずご確認ください。
参考出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」(職種小分類別の賃金、および産業大分類・情報通信業の企業規模別賃金。いずれも一般労働者・産業計の統計表による)


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