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厚生労働省「労働経済動向調査」(2019年8月)
既卒の就活は厳しい。そう言われますし、実際に厳しいと感じている方が読んでいると思います。
私も人材紹介にいたころ、既卒の方の相談を受けるたびに、扱いが違うのは事実だと感じていました。
ただ、国の調査を読むと、厳しさの中身が思っていたものと違いました。応募できないのではなく、応募はできるという数字が出てきます。
門は、7割開いている
厚生労働省が、新卒の採用枠で正社員を募集した事業所に、既卒者も応募できるようにしていたかを聞いています。
応募可能だった事業所は70%でした。
これは2010年に国が「卒業後3年以内の既卒者は新卒枠で応募を受け付けるように」という指針を出した結果です。制度として、門は開けられています。
応募できる期間も緩んでいます。「卒業後2年を超えても応募できる、または期間に上限はない」とした事業所の割合です。
出典:厚生労働省「労働経済動向調査」(2019年8月)。新規学卒者枠で募集を行った事業所のうち、既卒者が応募可能だった事業所を100として集計。
9年で11ポイント上がっています。卒業してから何年経ったか、という線引きは、確実に緩んできました。
ただし、決まった人は31%だった
同じ調査に、その先の数字があります。既卒者が応募可能だった事業所のうち、実際にどうなったかです。
同上。2019年調査。四捨五入のため合計は100になりません。「採用に至らなかった」は、既卒者を応募可能にしたが採用しなかった事業所を指します。
門を開けた企業のうち、実際に既卒者を採用したのは31%。開けたが採用しなかったところが38%あります。
この違いは大きいと思っています。応募できないなら、打つ手がありません。応募はできるのに決まらないなら、選考のなかに理由があります。
では、選考で何を見られているのか
厚生労働省が、若年の正社員を採用した事業所に、選考で重視した点を聞いています。中途採用の区分での回答です。
出典:厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」事業所調査・中途採用者の選考で重視した点(複数回答)。全11項目のうち抜粋。項目名は表示の都合で一部を短縮しています(正式には「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」)。

「学歴・経歴」は23.1%で、下から数えたほうが早い位置です。
既卒であることは、この「経歴」に入ります。つまり企業が最も見ていない項目に、既卒というラベルは属しています。
逆に上位にあるのは、職業意識と、コミュニケーション能力。どちらも面談で判断される項目です。書類ではなく、会って話す段階で決まっているということになります。
人材紹介にいたころの実感とも一致します。書類で落ちる既卒の方は、経歴そのものより空白期間に何をしていたかを説明できていないケースが多かった。理由が言えれば通る場面を、何度も見ています。
ただ、その理由を話す前に、書類の段階で止まります。話す場面まで行けるかどうかが、最初の関門です。
JAICの就職カレッジには、書類選考がありません。先に無料の研修を受け、それを見たうえで企業が面談する形だからです。その結果、空白期間を紙に書いて審査される前に、口で説明する機会のほうが先に来ます。
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IT職を選ぶ場合に変わること
職種によって、この構造は少し変わります。
IT職の場合、選考で見せられる材料を自分で作れます。作ったもの、学んだ記録、取った資格。経歴に空白があっても、そこに置くものがあれば、話す内容が変わります。
ただし、実際に手を動かして学んでいる人は多くありません。転職した人のうち、学校や通信教育で学んだのは100人あたり3人でした。この数字は転職した人の66.1%は準備を何もしていなかったにまとめています。
フリーターや中退からの就職については高卒フリーターの就職で、実際に人が足りている職業を並べました。大学中退の場合は大学中退の就職のほうが近いと思います。
学校を出てから年数が経っている場合は、30歳・職歴なしは手遅れかのほうで、初めて仕事に就いた年齢の分布を見ました。30歳以上で初職に就いた人は686万人います。
フリーターの期間が何年目から効くかは、フリーターから正社員になれたのは3人に2人で見ました。なろうとした人の3人に2人はなれていて、落ちるのは4年目からでした。
よくある質問
既卒の就活は厳しいのですか?
厳しさの中身は「応募できない」ではなく「応募はできるが決まりにくい」です。厚生労働省の労働経済動向調査(2019年8月)では、新規学卒者採用枠で既卒者が応募可能だった事業所は70%あります。ただしそのうち実際に採用に至ったのは31%、応募可能にしたが採用に至らなかったのが38%でした。
既卒は卒業後何年まで新卒枠に応募できますか?
2010年に国が青少年雇用機会確保指針を改正し、卒業後3年以内の既卒者は新卒枠で応募を受け付けるよう定めました。実際に「卒業後2年を超えても応募できる、または期間に上限はない」とした事業所は2010年の64%から2019年には75%へ増えています。
既卒だと選考で不利になりますか?
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査によると、中途採用の選考で重視された点は職業意識・勤労意欲が72.7%、コミュニケーション能力が66.9%と上位で、学歴・経歴は23.1%と下位でした。既卒というラベルは学歴・経歴に含まれるため、企業が最も見ていない項目に属します。
既卒で応募すると、まず「なぜ空白があるのか」から説明することになります。これを毎回ゼロからやるのは消耗します。JAICの就職カレッジは、フリーター・既卒・大学中退の方を対象にした就職支援です。書類選考なしで、無料の研修を受けてから企業との面談に進む形なので、経歴ではなく話した内容で判断されます。空白期間の説明を、落とされる材料ではなく、話す内容のひとつに変えられます。参加したからといって、入社を決める必要はありません。
対象は18〜35歳で、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫・愛知・福岡など12都府県での就職を希望する方です。地方在住でも、これらの地域で働く意思があれば利用できます。
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新卒枠で既卒者が応募できる事業所は、70%ありました。
そのうち実際に採用に至ったのは31%。
閉まっているのは門ではなく、門を通ったあとの一枚でした。
※ 既卒者の応募受付状況と応募可能な経過期間は、厚生労働省「労働経済動向調査(2019年8月)」を人材開発統括官が加工した資料に基づきます。2019年時点の数値であり、直近の調査ではありません。2015年調査から会社以外の法人も対象に加わったため、それ以前との単純比較には注意が必要です。選考で重視した点は厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」事業所調査の中途採用者の区分によります。選考の実態に関する記述は、筆者がIT・エンジニア領域の人材紹介に在籍していた際に見た傾向に基づく整理で、企業により異なります。
参考出典:厚生労働省「今後の若年者雇用に関する研究会 事務局説明資料」(労働経済動向調査2019年8月をもとに人材開発統括官が作成)、厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」事業所調査。


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