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未経験からIT転職を目指すと、必ずこの話にぶつかります。
資格は取るべきか、取らなくていいのか。
調べると、意見がきれいに割れています。実務では役に立たないから不要という声と、未経験なら武器になるから必須という声。
元・IT人材紹介のカツジンです。企業に未経験者を推す側にいました。
結論から言うと、どちらも部分的に正しいです。かみ合っていないのは、資格が何を証明するかの認識がずれているからです。
採用担当が資格欄を見たとき、頭の中で何が起きているか。そこから話します。
採用担当は、資格欄で実力を測っていない
未経験者の書類が来たとき、採用側の思考はだいたいこう動きます。
採用担当の頭の中
この人、本当に続くかな。
未経験だから、スキルは期待していない。むしろ気になるのは、興味があると言っているだけの人なのか、それとも実際に動ける人なのか。
お、資格を取ってる。
ということは、少なくとも数ヶ月は自分で勉強を続けたわけだ。仕事しながら机に向かう習慣がある。これは、入社後も学べる可能性が高い。
ここで見られているのは、知識の量ではありません。
資格が証明するのは、実力ではなく
本気度と、学習を続けた事実。
だから実務では役に立たないという意見も、正しいのです。資格を持っていても、現場ですぐ動けるわけではない。それは採用側も分かっています。
それでも評価されるのは、未経験採用でいちばん怖いのが、入って伸びずに辞めることだからです。学び続けた証拠は、その不安を直接打ち消します。
この採用側の見方については「志望動機の作り方」でも詳しく書きました。
ネットワーク分野に絞った具体例として、CCNAが採用でどう見られるかを別記事で検証しました。
資格は、もう学生のものではない
意外に思われるかもしれませんが、IT系の資格試験は今、社会人が受けるものになっています。
出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「令和6年度 iパス(ITパスポート試験)の年間応募者数等について」および試験統計情報。
受験者の約8割が社会人。しかも人数は増え続けています。
この流れが意味するのは、資格の価値が上がったというより、働きながら学び直す人が普通になったということです。
言い換えると、何もしていない期間が長い人ほど、相対的に目立つようになってきています。
ただし、職種によって効き方はまるで違う
ここが誤解されやすいところです。資格が効くかどうかは、目指す職種で変わります。
CCNAが事実上の共通言語になっています。中身と取り方は「CCNAとは?未経験からの取り方」、受験にいくらかかるかは別記事で詳しく解説しています。求人票で歓迎条件に書かれることも多く、未経験からの入口として最も分かりやすい資格です。
作品で実力を示しにくい領域なので、資格の存在感がそのまま大きくなります。学歴の代わりとして効くのも、この領域です(高卒でエンジニアは厳しいか)。この職種の中身は「コードが苦手でもなれるIT職」へ。
基本情報技術者などは評価されますが、それ以上に見られるのは実際に作ったものです。
小さくても動くものを作れる人は、資格の有無に関係なく通ります。逆に資格だけで作品がないと、知識はあるが手は動くのかと問われます。
ITパスポートは、専門職の証明にはなりません。ただし非IT職の人が持っていると、意欲の可視化としては機能します。
名刺代わりと考えるのが適切で、これ一本で転職できるものではありません。
つまり、資格を取るべきかという問いは、そもそも粒度が粗いのです。
正しい問いは、自分の目指す職種で
資格が効くかどうか。
職種そのものが定まっていない場合は、先に「エンジニア職種図鑑」で全体像を掴んでください。
※ 定番の基本情報技術者については「基本情報技術者は未経験の転職に意味があるか」で、経験なしの合格率が全体を上回るデータまで掘り下げました。
基本情報の合格率は学歴と年齢で20%から77%まで開いていて、平均の38%は目安になりません。基本情報技術者試験の合格率で自分の層を確認してから計画を立てるほうが確実です。
ITパスポートのほうは合格率48.6%で、IT以外の会社の人のほうが受かる試験です。得点分布と年齢別の数字はITパスポートの難易度に置きました。
いちばん多い失敗は、順番の間違い
現場でよく見た、もったいないパターンがあります。
資格を取ってから転職活動を始めます、というものです。
気持ちは分かります。準備が整ってから動きたい。ただ、これは時間の使い方として損をしやすい。
理由は3つあります。
- 資格を取り終える頃には、数ヶ月が過ぎている。20代なら、その数ヶ月は年齢の条件が絡む案件で効いてくる
- 目指す職種が決まる前に勉強を始めると、効かない資格を選んでしまうことがある
- 勉強中の状態でも、採用側から見れば十分に評価対象になる。取得済みである必要はない
2番目と3番目が特に重要です。
採用担当は、資格を持っているかどうかだけでなく、いま学んでいるかどうかを見ています。勉強中ですと言える状態なら、それはもう学習を続けている証拠です。
だから正解は、並行です。学びながら情報を集め、動きながら方向を決める。
資格を取るなら、就職とセットで考える
もうひとつ、独学で資格を狙う場合の落とし穴を。
資格の勉強と、就職活動は別物です。テキストを読み切って合格しても、その資格をどう見せるか、どの企業に出すかは自分で組み立てる必要があります。
ここで迷子になる人を、何人も見てきました。合格したのに、その先が進まない。
だから、資格取得と就職支援がつながっている環境を使うのは、合理的な選択です。
ネットビジョンアカデミーは、インフラ・ネットワークエンジニアに特化した養成スクールです。
1ヶ月の研修でCCNA取得を目指し、実機を触りながら学び、そのまま就職サポートまでつながります。在職中なら2ヶ月コースで、働きながらでも受けられます。
資格を取ることが目的ではなく、就職までが目的なら、この形は無駄がありません。32歳までなら職歴も学歴も問われません。
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よくある質問
資格がないと、未経験は書類で落ちますか
資格がないという理由だけで落ちることは多くありません。ただし応募者が並んだとき、学習を続けた証拠がある人が有利になるのは事実です。
ITパスポートは意味がないと言われますが、本当ですか
専門職の実力証明としては弱いです。ただ非IT職から動く人にとっては、意欲を形にする最初の一歩として機能します。目的を取り違えなければ、無駄にはなりません。実際に受けているのがどういう人たちなのかは、ITパスポートは意味ないのかでIPAの応募者統計から確かめました。
何から取るべきか分かりません
目指す職種を先に決めてください。インフラならCCNA、開発なら基本情報と作品、方向が定まっていないならITパスポートから触れてみる。順番は職種が先です。
働きながらでも取れますか
実際、受験者の約8割は社会人です。仕事と並行して取る人が多数派になっています。学習が続かない構造的な理由については「独学はなぜ挫折するのか」も参考にしてください。
まとめ
資格は実力を証明しません。証明するのは、本気度と、学び続けた事実です。
そして効き方は職種で変わります。インフラなら大きく、開発なら作品の次、事務系なら名刺代わり。
取ってから動くのではなく、動きながら取る。学習中という状態も、すでに評価の対象です。
走り出した証明として使う。
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筆者:カツジン(平成2年生まれ・九州在住)。銀行で10年決算書を読み、そのあとM&A仲介とITエンジニアの人材紹介を3年。会社の値段と、人の市場価値が決まる瞬間を、内側から見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。詳しくは運営者情報へ。
参考・出典
・IPA 情報処理推進機構「令和6年度 iパス(ITパスポート試験)の年間応募者数等について」(年間応募者数309,068人、情報処理技術者試験全体741,884人)
・IPA「ITパスポート試験 統計情報」(受験者の社会人・学生別構成比)
※職種別の評価の受け方は、筆者がIT・エンジニア領域の人材紹介で企業から受けた要望や選考の傾向に基づく整理です。評価基準は企業により異なります。


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