Webエンジニアとはどんな仕事か。厚労省の31タスクを見たら、作るより直す仕事で、ネット業界の売上の8割超はサービスを動かす側にあった

商店街の八百屋の店先で、店主が「エラー:決済に失敗しました」と表示されたタブレットをWebエンジニアに手渡しているドット絵風のイラスト。店先に「ネット注文 受付中」の手書きの貼り紙とみかんの箱 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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人材紹介にいたころ、未経験の方の相談で、希望職種としていちばん多く聞いた言葉がWebエンジニアでした。ただ、その名前で書かれた求人票は、思ったより少なかった。

国の職業情報にも、Webエンジニアという職業名はありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この仕事は「システムエンジニア(Webサービス開発)」として、31のタスクで書かれています。

先に結論を書きます。Webエンジニアは、Webサイトを作る人というより、動いているWebサービスを直し続ける人です。ネット業界の売上も、8割超がサービスを動かし続ける側に集まっていました。

Webサイトは、表示するものから製品になった

job tagは、この職業の定義を、Webサイトの変化から書き起こしています。

Webサイトは企業や団体のホームページや情報提供サイトから始まり、情報が固定的に表示されるWebコンテンツが多かったが、プログラムと連動してサービスを提供するものが多くなり、そのようなWebサイトが一つの「製品(products)」として提供されている。厚生労働省 job tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」の定義

表示するものだったWebサイトが、製品になった。この変化がお金の側でどう出ているかを、総務省の情報通信業基本調査で確かめます。

インターネット附随サービス業の内訳 売上高 構成比
ショッピングサイト・オークションサイト運営業 2.76兆円 33.4%
ICTアプリケーション共用サービス業(ASP・SaaS) 1.72兆円 20.8%
コンテンツ配信プラットフォームサービス 0.88兆円 10.7%
課金・決済代行業 0.56兆円 6.8%
ウェブサイト運営業 0.50兆円 6.0%
情報ネットワーク・セキュリティサービス業 0.28兆円 3.4%
ウェブサイト作成業(プログラム作成を伴わないもの) 0.16兆円 1.9%
ウェブ情報検索サービス業 0.12兆円 1.5%
電子掲示板・ブログ・SNS運営業 0.08兆円 1.0%
その他 1.19兆円 14.4%
合計 8.27兆円 100%

2025年情報通信業基本調査(2024年度実績)のインターネット附随サービス業の売上高(推計)。電子認証業(29億円)は省略。ウェブサイト作成業は「プログラム作成を伴わないもの」で、プログラムを書くWeb制作の受注はソフトウェア業に分類され、この表には入らない。出典:総務省「2025年情報通信業基本調査の結果」(2026年3月31日公表)

インターネット附随サービス業の売上8.27兆円のうち、ショッピングサイトの運営、SaaS、コンテンツ配信、決済代行、サイト運営など、サービスを動かし続ける事業が8割超を占めます。

プログラムを書かずにWebサイトを作るウェブサイト作成業は1.9%です。ただし、プログラムを書いて作るWeb制作の受注は、この統計ではなくソフトウェア業の側に数えられます。作る仕事が小さいという意味ではありません。

いちばん大きいのは、ショッピングサイトの運営で33.4%。次がSaaSで20.8%。ネット業界のお金は、サービスを動かし続ける会社に集まっています。Webエンジニアの席も、そちら側にあります。

31のタスクを、作る・直す・回す・売るで分ける

その席で何をするのか。job tagが公表している31タスクの実施率を、4つに分けて全部並べます。

タスク(実施している人の割合) %
作る
新規に必要なソフトウェアを自分で作成する 88.9
新規に必要なソフトウェアをプログラマーに依頼する 88.9
どのようなWebサービスにするかチームで決める(要件定義) 82.2
データベース設計や外部連携を固める(基本設計) 82.2
詳細な処理の流れを設計書にする(詳細設計) 82.2
画面デザインをデザイナーに依頼する 77.8
スマートフォン用のWebサイトを検討する 77.8
外部に提供するAPI機能を設計する 77.8
直す
開発中に問題があれば修正する 88.9
問題点・疑問点をインターネットで情報収集する 88.9
単体・結合・総合テストを行う 86.7
顧客とともにテストする(受け入れテスト) 86.7
提供中のWebサービスをどう改善するか検討する 84.4
公開後に生じた問題を解決する 84.4
Webサービスの運用・保守を実施する 84.4
利用者に使ってもらい問題点を確かめる(ユーザビリティテスト) 80.0
回す
開発のためのミーティングを定期的に行う 84.4
顧客のサーバ上に構築する(受託開発) 84.4
情報共有・進捗管理をコラボレーションツールで行う 82.2
クラウド上に構築する 82.2
運用のためのドキュメントを作成する 82.2
Webサービスを公開する 82.2
運用や操作に関する教育を行う(導入) 80.0
品質管理・情報セキュリティの検討を担当者に依頼する 80.0
売る・考える
開発したソフトウェアを利用した技術サービスを提供する 82.2
開発するWebサービスを顧客と検討する(受託開発) 80.0
要件定義をプロダクトマネージャと共同で行う 80.0
売上金とコストを管理する 80.0
開発関係者の集まりに対面で参加する 75.6
ネット上のコミュニティに参加する 73.3
社会に求められるWebサービスをチームで検討する(自社サービス) 71.1

job tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」のタスク一覧(就業者調査で各タスクを実施していると答えた割合)。4つの分け方は当編集部。タスク名は原文を短縮。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)

いちばん高い88.9%は3つあります。自分で作成する、開発中の問題を修正する、問題点をインターネットで情報収集する。作ることと、直すことが、同じ高さで並んでいます。

逆に、テストでバグを見つけて伝える側のQAエンジニアは、バグを自分で直す人が42.6%にとどまります。直す仕事と見つける仕事の違いは、別の記事で並べました。

QAエンジニアとは、バグを直す人ではなかった。厚労省の16タスクで自分で直す人は42.6%、仕事の中心は見つけて伝えること

そして、いちばん低いのは、社会に求められるWebサービスをチームで検討する71.1%。新しいサービスを考える人より、提供中のサービスをどう改善するか検討する人(84.4%)のほうが多い。

8割超と、この並びは同じことを言っています。Webエンジニアの仕事は、新しく作ることより、動いているものを直し、回し続けることです。

job tagの本文にも、既に提供されているWebサービスをどう改善していくかといった開発も多い、とあります。開発は4〜6人のチームでアジャイルに進み、公開後の問題解決やアフターケアも仕事です。

誰が、どこで、いくらで働いているか

マンションの窓際の机で、ヘッドホンをつけてノートPCと外付けモニターに向かい在宅勤務するWebエンジニアを背後から描いたドット絵風のイラスト。ベランダに洗濯物

働いている人の学歴は、大卒85.0%、専門学校卒17.5%、修士17.5%、高卒12.5%(複数回答)。関連資格の欄は「関連する資格はありません」です。

入職前の訓練期間は、特に必要ないが22.5%、1〜6か月が20.0%、6か月〜1年が12.5%、1〜2年が12.5%。半分以上の人が、1年以内の訓練で入れると考えています。入職前の実務経験は、特に必要ないが27.5%。

就業するにはの欄は、大学・専門学校・高専でコンピュータ関係を学んだ人が多い、としたうえで、若い社会人が職業訓練などを経て転職してくるケースもある、と書いています。

言語はPHP、JavaScript、Rubyが多く、Linux、Apache、MySQL、PostgreSQLの知識が要る。開発の情報は英語で得ることもあるので、英語の読み書きも、とあります。

勤務先と条件

勤務先はWebサービス会社で、都市部に集まっている。転勤は少なく、在宅も多い。30代が多く、雇用形態は正社員が多い(就業形態は正規75.6%、フリーランス20.0%)。フレックスが多く、リリース前は残業が増える。

年収は、この職業が属する統計区分「ソフトウェア開発技術者(WEB・オープン系)」で578.5万円(平均37.1歳・38万9,760人)。ハローワークの求人賃金は月36.4万円、有効求人倍率は2.54倍です。

Web系の会社で働く人の年収を年齢や経験年数で分けると、20代前半から高く始まり、40代前半で頭打ちになっていました。その数字は別に並べています。

Webエンジニアの年収を国の統計で引いたら、Web系の会社は20代前半から63万円高く、40代前半の862万円で伸びが止まっていた

ITスキル標準のレベル別では、設計・構築でレベル1〜2が420〜620万円、レベル3が450〜700万円、レベル5以上で600〜950万円。同じWebを作るWebデザイナーの0.11倍と比べた話は、別に書きました。

Webデザイナーはやめとけ? 求人倍率は0.11倍、同じWebサイトを作るエンジニアは2.54倍だった

訓練期間で見ると、1年以内で入れると考える人が半分を超え、国も職業訓練を経て転職してくるケースを書いています。

ただし31タスクの最高値は、自分で作ることと、問題を自分で直すことでした。訓練の中身が、その2つを通しているかどうかです。

Winスクールは全国に教室があり、オンラインにも対応した個人レッスンのスクールです。Webプログラミングのコースがあります。

だから、PHPやJavaScriptで自分で作り、動かなくなったところを自分で直す工程を、教室で1度通してから応募できます。88.9%の2つを、訓練の期間のうちに自分の側に置けます。受講相談は無料です。

\ 受講相談は無料です /

この先、求められているのは企画する人

job tagの労働条件の欄は、この先について1文だけ書いています。開発を支援する様々なツールが生まれ、開発自体のハードルが下がるなか、サービスを企画する人材、ビジネスを考える人材が求められている、と。

31タスクの中にも、その芽はあります。売上金とコストを管理する80.0%。要件定義をプロダクトマネージャと共同で行う80.0%。10人に8人は、作る前にお金と要件を触っています。

作るハードルが下がるほど、作れること自体の値段は下がります。残るのは、何を直すべきかを決める側と、その改善が売上に効いたかを見る側。作る工程の外側に、席は広がっています。

作るハードルが下がった先で、市場と求人倍率がどう動いたかは、国の統計の5年分で別に確かめました。仕事は減っておらず、並ぶ人が増えていました。

Webエンジニアはオワコンか。国の統計を5年並べたら、市場は2割以上伸び、求人倍率は2.22倍から1.45倍に下がっていた

4種類あるシステムエンジニアの中で、この職業がどこに置かれているかは、別に並べています。Webサービス開発は、自分でコードを書く側の2種類のうちの1つです。

システムエンジニアとはどんな仕事か。厚労省の4種類のSEを並べたら、自分でコードを書くのは2種類だけだった

よくある質問

Webエンジニアとはどんな仕事ですか?

Webサイトでのサービスをチームで設計し、開発する仕事です。厚生労働省の職業情報(job tag)では「システムエンジニア(Webサービス開発)」として31のタスクが公表されていて、実施率が最も高いのは、新規のソフトウェアを自分で作成する88.9%、開発中の問題を修正する88.9%、問題点をインターネットで情報収集する88.9%の3つです。提供中のサービスの改善を検討する人が84.4%で、新しいサービスを検討する人の71.1%より多い、作るより直す仕事です。

Webエンジニアの年収はいくらですか?

job tagに載る統計区分「ソフトウェア開発技術者(WEB・オープン系)」の年収は578.5万円(平均37.1歳、令和7年賃金構造基本統計調査を加工)です。ハローワークの求人賃金は月36.4万円、有効求人倍率は2.54倍(令和7年度)。ITスキル標準のレベル別では、設計・構築のレベル1〜2が420〜620万円、レベル3が450〜700万円、レベル5以上が600〜950万円です。

Webエンジニアは未経験からなれますか?

job tagの就業するにはの欄は、入職にあたって特に学歴や資格は必要とされない、としたうえで、若い社会人が職業訓練などを経て転職してくるケースもある、と書いています。働いている人が必要と考える入職前の訓練期間は、特に必要ない22.5%、1〜6か月20.0%、6か月〜1年12.5%で、1年以内が半分を超えます。関連資格は「ありません」。学歴は大卒85.0%、専門学校卒17.5%、高卒12.5%(複数回答)です。

WebエンジニアとWebデザイナーの違いは何ですか?

job tagでは別の職業です。Webエンジニア(システムエンジニア・Webサービス開発)は要件定義から設計、プログラミング、テスト、公開後の保守までを担い、画面デザインはWebデザイナーに依頼する(77.8%)と書かれています。統計区分の有効求人倍率はWebサービス開発が2.54倍、Webデザイナーが0.11倍で、求人賃金は月36.4万円と28.2万円です。

ネット業界の売上の8割超は、サービスを動かし続ける会社の側にあります。ただ、目の前の未経験求人がどちら側の会社から出ているかは、求人票の会社名だけでは読めません。

ユニゾンキャリアはIT・Web業界専門の転職エージェントで、IT業界が未経験の人の転職も支援しています。

だから、いま出ている未経験求人のうち、どれが動いているサービスを持つ会社の席かを、応募する前に担当者を通して確かめられます。作って終わる席ではなく、動かし続ける席に並べます。面談は無料です。

対象は20代・高卒以上で、東京・埼玉・神奈川での就業を希望する方です(居住地は問いません)。

\ IT未経験の転職も相談できる /

ユニゾンキャリア (未経験者)

次の一手は1つです。気になる会社のサービスを、自分のスマートフォンで1度使ってください。その画面の、直したいところを1つ言えるかどうか。31タスクの中で、いちばん多くの人がやっているのは、そこからです。

参考出典
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(Webサービス開発)」(タスク実施率・就業するには・労働条件・学歴・訓練期間・統計データ)/総務省「2025年情報通信業基本調査(2024年度実績)の結果」

タスクの実施率はjob tagの就業者調査の値で、4つの分け方とタスク名の短縮は当編集部によるものです。年収・年齢・就業者数は職業が属する統計区分の値で、職業そのものの値ではありません。ITSSレベル別の年収は第一四分位から第三四分位の範囲です。情報通信業基本調査の売上高は標本調査からの推計値です。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)を確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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