データサイエンティストの年収を国の統計で引いたら職種がなく、学位で引くと、同じ大学院卒でも会社の規模で月35万円と52万円に割れていた

居酒屋の座敷で、同じ研究室にいた2人が給与明細を見せ合っているボールペン画風のイラスト。左の明細に「所定内給与 517,000」、右の明細に「所定内給与 350,000」。ビールのジョッキと枝豆、焼き鳥 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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611万9,000円厚生労働省の職業情報(job tag)がデータサイエンティストの欄に載せている年収。平均43.9歳

この数字は、データサイエンティストの年収ではありません。国の賃金統計にこの職種がないので、属する区分の値が載っています。

では国の統計で、この職業に近い数字は引けないのか。職種で引けないなら、学位で引けます。データサイエンティストは大卒55.3%、修士44.7%、博士29.8%の、学位で入る職業だからです。

引いてみると、情報通信業の大学院卒の年収は879万円で、大卒より203万円上でした。ただし同じ大学院卒でも、会社の規模で月給の真ん中が35万円と52万円に割れていました。

国の賃金統計に、この職種はない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、職種を小分類まで公表しています。ソフトウェア作成者、システムコンサルタント・設計者、その他の情報処理・通信技術者。データサイエンティストはありません。

job tagの611.9万円は、この職業が属する「他に分類されない技術の職業」という区分の値です。同じ区分の求人賃金は月29.6万円、有効求人倍率は8.91倍。

もう1つ、job tagにはITスキル標準のレベル別の年収があります。レベル3で600〜900万円、レベル4で650〜950万円、レベル5以上で700〜1,100万円。この2つの数字が同居する理由は、別に書きました。

データサイエンティストとはどんな仕事か。求人倍率は8.91倍でIT職種の最多、なのに求人賃金は29.6万円で下から4番目だった

区分の平均と、レベル別の帯。どちらもこの職業そのものの数字ではないので、別の引き方を探しました。

学位で引くと、情報通信業の大学院卒は879万円

同じ賃金構造基本統計調査に、産業別・学歴別の表があります。令和7年(2025年)の情報通信業を、学歴で並べます。

最終学歴 年収 平均年齢 労働者数
高校 627.5万 48.4歳 12万6,190
専門学校 566.5万 41.5歳 22万4,230
高専・短大 640.0万 38.4歳 20万4,610
大学 675.7万 39.3歳 92万1,320
大学院 879.1万 37.9歳 11万5,760
学歴計 668.4万 40.2歳 165万4,920

令和7年賃金構造基本統計調査 第1表(産業大分類)の情報通信業・企業規模10人以上・男女計。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で当編集部が算出。学歴計には「不明」を含む。出典:厚生労働省(e-Stat・2026年3月24日公開)

大学院卒は879.1万円で、大卒の675.7万円より203万円上。平均年齢は37.9歳で、表の5つの区分でいちばん若い。年齢が低いのに年収が最も高い、という並びになっています。

人数は11万5,760人で、情報通信業の7.0%です。データサイエンティストの修士44.7%、博士29.8%という学歴の形は、この7.0%の側に乗っています。

産業計の大学院卒は876.4万円、学術研究・専門技術サービス業は898.5万円。大学院卒の年収は産業を変えてもほぼ同じ高さで、情報通信業だけが高いわけではありません。

年齢で見ると、差は40代前半で419万円開く

大卒と大学院卒を、年齢で並べます。

年齢 大学 大学院 差
20〜24歳 382.0万 387.2万 5.2万
25〜29歳 493.6万 602.3万 108.7万
30〜34歳 573.3万 809.8万 236.5万
35〜39歳 685.9万 878.6万 192.7万
40〜44歳 749.1万 1,167.9万 418.8万
45〜49歳 870.3万 1,190.1万 319.8万
50〜54歳 891.0万 1,025.8万 134.8万
55〜59歳 966.7万 1,027.9万 61.2万

同じ表の情報通信業・男女計・企業規模10人以上。年収の算出は上と同じ。大学院卒の55〜59歳は2,590人と少ない。出典:厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査

20代前半は5万円しか違いません。差が開くのは30代からで、30〜34歳で236万円、40〜44歳で419万円。大学院卒は40代前半で1,168万円に乗ります。

50代で差が縮みます。大学院卒の人数が55〜59歳で2,590人まで減るので、平均が動きやすい年代です。学位の差は入口では出ず、30代の伸び方で出ます。

同じ大学院卒でも、会社の規模で月35万円と52万円に割れる

夜の雑居ビルの外廊下で、小さなデータ分析会社のドアに鍵をかける人を背後から描いたボールペン画風のイラスト。通りの向こうに窓の明かりがついた大きなオフィスビル

879万円は平均です。平均は上に引っ張られるので、真ん中の人がいくらかを見ます。同じ調査に、所定内給与額(月給から残業代を除いた額)の中央値が、企業規模別に載っています。

企業規模 中央値 上位25% 人数
1,000人以上 51.7万 68.1万 7万8,100
100〜999人 35.0万 48.2万 2万8,070
10〜99人 37.0万 40.4万 9,590
規模計 45.5万 62.1万 11万5,760

令和7年賃金構造基本統計調査 第3表(産業大分類)の情報通信業・大学院卒・男女計・年齢計。所定内給与額の中位数と第3四分位数(月額)。人数は第1表の大学院卒の労働者数。出典:厚生労働省

1,000人以上の会社では、大学院卒の月給の真ん中が51.7万円。100〜999人では35.0万円、10〜99人では37.0万円。同じ学位で、真ん中の人の月給が17万円違います。

しかも人数は、1,000人以上に7万8,100人。大学院卒の3人に2人が、大きい会社にいます。879万円という平均は、この7万8,100人が作っています。

30〜34歳に絞ると、もっとはっきりします。1,000人以上の中央値は51.3万円、100〜999人は31.2万円、10〜99人は31.5万円。30代前半で、大きい会社とそれ以外の差が20万円です。

job tagは、データサイエンティストの労働条件の欄に、データ分析専業の会社は中小が多い、と書いています。この職業の年収が読みにくいのは、学位の高い人が、月給の割れる側の会社に散っているからです。

置かれる場所で、同じ資格や学位の意味が変わる。この構造は、やめとけと言われる理由を確かめたときと同じ形でした。

データサイエンティストはやめとけ? 本人たちの協会の調査を見たら、スキルを活かせている人は27%だった

いまエンジニアとして働いていて、データ分析の側に移ろうとしている人にとって、この表の意味は1つです。移る先の会社の規模で、同じ仕事の月給の真ん中が17万円動きます。

求人票の年収欄は、その会社が1,000人以上の側か、それ以外かで読み方が変わります。

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よくある質問

データサイエンティストの年収はいくらですか?

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は611.9万円(平均43.9歳)を載せていますが、これはデータサイエンティストが属する区分の値で、国の賃金統計にこの職種はありません。ITスキル標準のレベル別ではレベル3が600〜900万円、レベル5以上が700〜1,100万円。学位で引くと、令和7年の情報通信業の大学院卒は879.1万円(平均37.9歳)、大卒は675.7万円です。

データサイエンティストの年収は高いですか?

この職業に多い学歴(修士44.7%、博士29.8%)で見ると、情報通信業の大学院卒の年収は879.1万円で、大卒の675.7万円より203万円上です。40〜44歳では大学院卒1,167.9万円、大卒749.1万円で差は418.8万円。ただし同じ大学院卒でも、所定内給与の中央値は1,000人以上の会社で月51.7万円、100〜999人で35.0万円、10〜99人で37.0万円と、会社の規模で割れます。

データサイエンティストの初任給・20代の年収は?

令和7年の情報通信業では、20〜24歳の年収は大卒382.0万円、大学院卒387.2万円でほぼ同じです。25〜29歳で大卒493.6万円、大学院卒602.3万円と差がつき始め、30〜34歳では573.3万円と809.8万円。ハローワークの求人賃金は、この職業が属する区分で月29.6万円です。

データサイエンティストで年収1,000万円は可能ですか?

情報通信業の大学院卒の年収は、40〜44歳で1,167.9万円、45〜49歳で1,190.1万円と、40代で1,000万円を超えています。所定内給与では、1,000人以上の会社の大学院卒の上位25%が月68.1万円以上です。一方、100〜999人の会社の上位25%は月48.2万円以上で、1,000人以上の側とは月20万円の差があります。

大学院に行かずにこの側へ入るなら、先に要るのは学位ではなく、データのある会社の中にいることです。表の1,000人以上の側にも、データを集めて揃える席は未経験求人として出ています。

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データサイエンティストの年収は、職種の欄にはなく、学位の欄にありました。
その学位の値段を決めているのは、会社の規模です。

参考出典
厚生労働省令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類(第1表・第3表)/厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「データサイエンティスト」

年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で当編集部が算出した推定値で、企業規模10人以上の民営事業所・一般労働者・男女計の値です。情報通信業の大学院卒には、データサイエンティスト以外の職種も含まれます。所定内給与額は残業代を含まない月額で、中央値と第3四分位数は同調査の分布特性値です。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)を確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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