データサイエンティストとはどんな仕事か。求人倍率は8.91倍でIT職種の最多、なのに求人賃金は29.6万円で下から4番目だった

製造業の会社の会議室で行われている社内講習を最後列から見た点描風のイラスト。ホワイトボードに「講習」の文字と散布図が描かれ、女性データサイエンティストが説明し、作業着やシャツの社員が席で聞いている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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ハローワークの求人統計。職業の区分にデータサイエンティストが入る欄を見ると、有効求人倍率は8.91倍、求人賃金は月29万6千円です。

求職者1人に求人が約9件。厚生労働省の職業情報にあるIT関連の21職業で、いちばん席が多い仕事です。そして求人賃金は、21職業の下から4番目でした。

席は多いのに、入口の額は低い。この2つが同じ職業に同居している理由を、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の15タスク、学歴、レベル別の年収帯で確かめます。

データサイエンティストとは、何をする人ですか

job tagの定義は、新たな商品やサービスを生み出したり、業務プロセスの革新のため、大量に蓄積されたデータ(ビッグデータ)を分析する、です。

自社の業務として従事する場合と、顧客にサービスとして提供する場合があり、仕事の流れは共通している、と続きます。

その流れを、15タスクの実施率で追います。3つの段階に分けました。

タスク 実施率
1 聞く:分析の目標を決める
業務の責任者に目標を聞く 86.7%
データの担当者に中身を確認する 88.9%
2 作る:モデルを組み、確かめ、実装する
データを加工しながらモデリングする 91.1%
モデルの効果を検証する 91.1%
新しいデータでも有効か判断する 91.1%
サービスとして実装する 86.7%
反復して分析・モデリングする 91.1%
3 広げる:仕組みと人を育てる
分析プラットフォームを提案する 82.2%
プラットフォームの効果を検証する 82.2%
統計・機械学習の講習を行う 84.4%
新しいツール・アルゴリズムを開発する 77.8%
システムを企画・開発する 75.6%
システムを管理・運用する 77.8%
段階をまたぐ
日報や月報からデータを集める 80.0%
データエンジニアや開発チームと打ち合わせる 82.2%

データサイエンティストとして働く人が各タスクを実施している割合(15タスク)。「聞く」「作る」「広げる」の3段階への分け方は当編集部によるもの。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「データサイエンティスト」

中心は「作る」の段階で、モデルを組んで確かめる工程が91.1%で揃います。

意外なのは「広げる」の段階で、統計や機械学習の講習を行う人が84.4%。5人に4人以上が、分析するだけでなく、社内で教えています。

データサイエンティストは、分析する人であると同時に、分析できる人を増やす人でもありました。

※よく並べて検索されるデータアナリストとの違いは、国の職業分類とIPAのスキル標準で確かめました。データアナリストとは何か

なぜ席が多いのに、求人賃金は低いのですか

冒頭の2つの数字を、もう一度置きます。

8.91倍有効求人倍率(令和7年度)。IT関連21職業で最多。SE(受託開発)は2.54倍
29.6万円求人賃金(月額・令和7年度)。21職業の下から4番目。SE(受託開発)は36.4万円

どちらもハローワークの求人統計で、データサイエンティストが属する「他に分類されない技術の職業」という区分の値です。

ハローワークに出る求人は、この区分の中で幅広い仕事を含みます。席が多いのも、額が低いのも、この区分の性質が出ています。

一方、job tagにはもう1つの年収があります。

厚生労働省が2023年度に行った委託調査で、ITスキル標準(ITSS)のレベルごとに年収の真ん中半分の範囲を出したものです。

データサイエンティストは〈企画立案・プロジェクト管理〉の区分で、レベル3が600〜900万円、レベル4が650〜950万円、レベル5以上が700〜1,100万円。

求人賃金29.6万円を12倍すると355万円。ITSSレベル3の下限は600万円。同じ職業名の中に、入口の額が2つあります。

労働条件の欄には、人材不足は顕著で、好条件を提示する会社が出てきている、とも書かれています。8.91倍の席と、600万円からの席は、同じ列ではありません。

どんな学歴の人が就いていますか

ここが、他のIT職業といちばん違うところです。働いている人に多いと感じる学歴を聞くと、大卒55.3%、修士44.7%、博士29.8%(複数回答)。高卒2.1%、専門学校卒2.1%。

職業 大卒 修士 博士
データサイエンティスト 55.3% 44.7% 29.8%
SE(受託開発) 84.6% 7.7% 2.6%
プログラマー 64.6% 4.2% 2.1%
AIエンジニア 57.6% 63.6% 30.3%

各職業で働く人に多いと感じる学歴を聞いた割合(複数回答)。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)各職業ページ

SEやプログラマーは大卒が多く、修士や博士はほとんどいません。データサイエンティストは博士が3割で、隣のAIエンジニアも同じ形です。

「就業するには」の欄も、大学院等で統計学、数学、情報工学などを専攻している場合が多い、と書いています。関連資格の欄は「関連する資格はありません」。資格ではなく、学位で入る職業です。

区分の平均でもレベル別の帯でもない、この職業の年収の引き方は、学位で引く形で別に確かめました。同じ大学院卒でも、会社の規模で月給の真ん中が割れています。

データサイエンティストの年収を国の統計で引いたら職種がなく、学位で引くと、同じ大学院卒でも会社の規模で月35万円と52万円に割れていた

関連資格に載らない側の検定、データサイエンティスト検定の合格率は13回分を並べて別に確かめました。

データサイエンティスト検定の合格率は49%。13回で3万4,550人が受けて1万5,491人が受かり、国の職業情報の関連資格には載っていない

ただし、入職前の実務経験は「特に必要ない」と考える人が42.6%、入職前の訓練期間も「特に必要ない」が29.8%。

関連資格が無い代わりに名前の挙がる資格9つの合格率と、国が認定している側の制度は、別に並べました。

データサイエンティストの資格9つの合格率を並べたら、18%から83%まで開いていた。国が認定しているのは資格ではなく大学の講座だった

やめとけと言われる側の中身は、本人たちの協会の調査で別に確かめました。働いている会員のうち、スキルを活かせている人は27%です。

データサイエンティストはやめとけ? 本人たちの協会の調査を見たら、スキルを活かせている人は27%だった

中途採用は情報処理技術者、通信技術者、マーケティングリサーチャー、製造業の研究者から来ることが多く、博士号を取ったあとに就く人もいる、とあります。文系出身者もいる、とも。

15タスクの「作る」の段階、モデルを組んで確かめる工程は、統計とプログラミングの両方が要ります。学位で入る人が多い職業に、学位以外から入るなら、その工程を自分の手で回せることを先に示す必要があります。

Winスクールは全国に教室があり、オンラインにも対応した個人レッスンのスクールです。Python+AI・データ分析コースがあります。

だから、15タスクのうち91.1%の人がやっているモデリングと効果検証を、応募する前に一度自分で通せます。8.91倍の席と600万円からの席のどちらに並ぶかは、その工程を見せられるかで分かれます。受講相談は無料です。

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どこで働き、どんな条件ですか

大学の研究室で、大学院生がノートPCの散布図を見ながら専門書に付箋を貼っている点描風のイラスト。机に論文の束とマグカップ、奥に本棚と夕方の窓

労働条件の欄は短く、勤務先はIT企業、製造業、サービス業等が多い。データ分析専業の会社の場合、中小企業が多い。

就業形態は雇用されている正社員が多く、フリーランスの者も若干いる。数字では正社員89.4%、フリーランス12.8%、派遣10.6%です。

年収の統計区分の値は611.9万円(平均43.9歳)で、この区分の就業者は7万9,260人。IT関連21職業の中で、統計区分の就業者数がいちばん少ない職業でもあります。席は多いが、人はまだ少ない。

21職業を求人倍率で並べた一覧と、隣にいるAIエンジニアやデータエンジニアの位置は、こちらに置いています。

ITエンジニアとはどんな仕事か。IT職種21個を求人倍率で並べたら、0.11倍から8.91倍まで開いていた

よくある質問

データサイエンティストとはどんな仕事ですか?

大量に蓄積されたデータを分析して、新しい商品やサービス、業務プロセスの革新につなげる仕事です。厚生労働省のjob tagにある15タスクの実施率では、モデリング91.1%、効果検証91.1%、新しいデータでの有効性判断91.1%、サービスとしての実装86.7%が中心で、統計や機械学習の講習を行う人も84.4%います。

データサイエンティストの年収はいくらですか?

job tagの統計区分の値では611.9万円(平均43.9歳)です。ITスキル標準のレベル別では、レベル3が600〜900万円、レベル4が650〜950万円、レベル5以上が700〜1,100万円(2023年度委託調査、第一〜第三四分位)。一方、ハローワークの求人賃金は月29.6万円で、入口の額には幅があります。

データサイエンティストになるには資格が必要ですか?

job tagの関連資格の欄は「関連する資格はありません」です。働いている人に多い学歴は大卒55.3%、修士44.7%、博士29.8%で、大学院で統計学、数学、情報工学などを専攻している場合が多いとされています。入職前の実務経験は「特に必要ない」と考える人が42.6%です。

データサイエンティストの求人は多いですか?

ハローワークの有効求人倍率は、データサイエンティストが属する区分で8.91倍(令和7年度)で、厚生労働省の職業情報にあるIT関連21職業の中で最も高い値です。求職者1人に対して求人が約9件あります。ただし求人賃金は月29.6万円で、21職業の下から4番目です。

中途採用の入口として国が挙げているのは、情報処理技術者、通信技術者、リサーチャー、研究者です。いまエンジニアとして働いている人にとって、この職業は隣にあります。ITSSレベル3で600万円からの帯に入るには、いまの案件で扱ったデータと、そこで決めたことを、言葉にして出せるかどうかです。

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だから、いまの経験をデータ分析の側の求人票の言葉に置き換える練習を、本番の前に何回でも回せます。8.91倍の列ではなく、600万円からの列に、経験を持って並べます。面談は無料です。

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席は21職業で最多、入口の額は下から4番目、学位で入る人が7割。
データサイエンティストとは、席の多さで選ぶ仕事ではなく、どの列に並ぶかで決まる仕事です。

参考出典
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)データサイエンティスト・システムエンジニア(受託開発)・プログラマー・AIエンジニア
厚生労働省「ハローワーク求人統計」令和7年度/「令和7年賃金構造基本統計調査」/スキルレベル別給与データ(2023年度委託調査)(いずれもjob tagの掲載値)

タスクの実施率・学歴・訓練期間・実務経験・就業形態は、その職業で働く人へのアンケート結果で、学歴と就業形態は複数回答です。3つの段階への分け方は当編集部によるものです。有効求人倍率・求人賃金・年収・就業者数は各職業が属する統計の区分の値で、職業そのものの値ではありません。ITSSレベル別の年収は第一四分位から第三四分位の範囲です。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年9月時点)を確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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