未経験プログラマーは本当にきついのか。3つに分けると1つだけ選べます

2台のモニターに向かう若いプログラマーの背中越しの姿と、壁に貼られた3つのうち1つと書かれた紙を描いたリノリウム版画風イラスト AIとキャリア
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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「未経験のプログラマーはきついですか」

この職種について、いま最も多く検索されている質問がこれでした。

きついかどうかは人によります。ただ「何がきついのか」は分解できます。

元IT人材紹介として、きついと言われる中身を3つに分けて、それぞれ避けられるものかどうかを書きます。

「きつい」の中身は3つある

現場で聞いてきた話を整理すると、だいたいこの3つに収まります。

1覚える量が、入社後も減らない

勉強して入って終わりではありません。言語も道具も数年で変わるので、働きながら学び続けることになります。ここを知らずに入ると、話が違うと感じます。

→ 避けられない。ただし全員が同じ条件

2最初の配属で、経験の中身が決まる

同じ未経験入社でも、開発を任される人と、監視やテストだけを何年もやる人に分かれます。本人の努力より、入った会社が何を請けているかで決まります。

→ 避けられる。入る前に確認できる

3評価されるまで時間がかかる

最初の1〜2年は、教わる側です。年収も同年代の平均を下回ることがあります。ここで焦って辞めると、経験が積み上がらないまま次に行くことになります。

→ 避けられない。ただし期間は有限

ここが分かれ目入る前に選べるのは、2番目だけです。そして、いちばん取り返しがつかないのも2番目でした。

1と3は、誰が入っても同じようにあります。会社選びで差がつくのは2番だけだと考えてください。

入ったあとの年収は別記事で年齢別に整理しました。平均574万円で、残業代が占めるのは6.1%です。

そもそも、人は増えているのか

きつい仕事なら、人は減っているはずです。厚生労働省が産業ごとに、1年間で何人が入って何人が辞めたかを調べています。

入った人から辞めた人を引くと、こうなりました。

宿泊・飲食+140.2
サービス業+60.3
教育・学習+44.7
建設業+43.7
情報通信業+19.3
卸売・小売-43.4
製造業-51.7

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」産業別の入職と離職(入職者数−離職者数・単位:千人)。縦線がゼロで、右が入職超過、左が離職超過です。主要産業から抜粋しました。

情報通信業は1年で19,300人の入職超過。入ってくる人のほうが多い産業です。

同じ年、製造業は51,700人、卸売・小売業は43,400人減っています。人が抜けている産業と、増えている産業がはっきり分かれました。

数字が言っていることきついかどうかと、人が集まるかどうかは、別の話でした。

求人の面でも、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.33倍で、全職業平均の1.01倍を上回っています(職業別の求人倍率は別記事で並べました)。

ただし、増えているのは入ってくる人だけではありません。応募する側も同じペースで増えています。令和8年7月の統計で何が動いたかは、未経験エンジニアは増えすぎかで確かめました。

現役の人が言う「きつい」は、別のもの

ここまでは未経験で入る側の話です。ただ検索している人のなかには、すでに働いている人もいます。

現役の口から出てくる「きつい」は、中身が違いました。納期が動かないこと、書いたものを人に見られること、覚えた道具が数年で入れ替わること。入る前の不安ではなく、続けるうえでの負荷です。

では、それで人は辞めているのか。同じ雇用動向調査に、産業別の離職率が出ています。

宿泊・飲食
離職率 18.1%
サービス業
離職率 19.0%
生活関連
離職率 16.9%
産業計
離職率 11.5%
情報通信業
離職率 9.8%

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」産業、就業形態別入職率・離職率(一般労働者)。主要産業から抜粋しました。

情報通信業の離職率は9.8%。産業計の11.5%より低い数字です。宿泊・飲食の18.1%と比べると、ほぼ半分になります。

同じ調査で入職率は11.0%なので、入ってくる人のほうが多い状態が続いています。

つまりきついという声は多いのに、辞めていく割合は平均より低い。

この2つは矛盾しません。負荷はあるが、辞めるほどではないと判断されているということです。覚え続ける必要があるのは事実で、それを負担と感じるかどうかが分かれ目になります。

在宅で働けるかどうかも、続けやすさに影響します。この点は在宅プログラマーはきついのかで、テレワークの導入率から確かめました。

未経験で入るときに見られるもの

「経験がないから無理では」と思うかもしれません。企業側の調査を見ると、少し違いました。

1位
職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神 72.7%
2位
コミュニケーション能力 66.9%
5位
業務に役立つ職業経験・訓練経験 42.3%
6位
専門知識や技能(資格・語学力) 34.8%

出典:厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」事業所調査・若年正社員の中途採用で重視した点(複数回答・全11項目のうち抜粋)。

職業経験は5番目の42.3%。資格や専門知識にいたっては6番目の34.8%でした。

未経験者に対して、企業はもともと経験を見ていません。見ているのは、続けられそうかどうかです。

面談のテーブルでキャリアアドバイザーが資料の一点を指し、若い男性が身を乗り出して質問している場面を描いたリノリウム版画風イラスト

在宅を希望する場合は、確認する項目がもう少し増えます。在宅プログラマーの実情は別記事で、テレワークの導入率から整理しました。

入る前に、これだけは聞く

さっきの2番目、配属の話です。ここだけは面接や面談で確認できます。

仕事の出所
自社サービスか、受託か、客先常駐か。ここで日々やることが変わる
最初の半年
研修のあと、実際に何を担当するのか。具体名で答えられるか
先輩の経路
未経験で入った人が、いま何年目で何をしているか

3つ目が特に効きます。答えが出てこない会社は、未経験者を育てた実績がないか、残っていないかのどちらかです。

年齢が気になる方は、以前書いた異業種転職は何歳までかの記事に、転職入職率と賃金の変化を年齢別に並べています。

別の職業からIT側に移った人が実際にどれだけいるかは、未経験から転職した人は82万人にまとめました。前職の内訳は事務・サービス・販売で74.5%を占めます。

配属の中身は、外から調べても出てこない

求人票には「開発業務」としか書かれていません。実際に何を請けている会社なのかは、中を知っている人に聞くのが早いです。

ユニゾンキャリアは、IT・Web業界に特化した未経験者向けの転職エージェントです。扱う求人がIT・Webの未経験入社に絞られているので、開発・インフラ・運用といった区分ごとに、入社後に何を担当することになるかを具体名で聞けます。求人票の「開発業務」という一語では分からなかった中身を、応募する前に確かめられます。相談は無料です。

対象の条件 20代・高卒以上で、東京・埼玉・神奈川での就職を希望する方(現在の居住地は問いません)。30代の方は30代未経験ITの現実に別の選択肢をまとめています。

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よくある質問

プログラマーの離職率は高いのですか

高くありません。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、情報通信業の離職率(一般労働者)は9.8%で、産業計の11.5%を下回ります。宿泊・飲食サービス業の18.1%と比べるとほぼ半分です。入職率は11.0%で、入ってくる人のほうが多い状態が続いています。きついという声は多い一方で、辞めていく割合は平均より低いという形になっています。

未経験のプログラマーはきついですか

きついと言われる中身は3つに分かれます。覚える量が入社後も減らないこと、最初の配属で経験の中身が決まること、評価されるまで1〜2年かかることです。このうち入る前に選べるのは配属だけなので、会社選びの時点で確認しておくのが現実的です。

未経験からプログラマーになるのは何歳までですか

法律上の制限はありません。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、40代後半でも男性の6.0%が1年間に転職しています。ただし未経験可の求人は若い層に多いため、選択肢の数は年齢とともに減ります。

プログラマーは人手不足なのですか

情報通信業は令和6年の1年間で入職者が離職者を19,300人上回りました。同じ年に製造業は51,700人、卸売・小売業は43,400人減っています。情報処理・通信技術者の有効求人倍率も1.33倍で、全職業平均の1.01倍を上回っています。

未経験だと資格を取ってから応募したほうがいいですか

優先度は高くありません。企業が中途採用で重視した点の調査では、専門知識や技能(資格・語学力)は6番目の34.8%でした。1位は職業意識・勤労意欲で72.7%です。

未経験で入って最初の年収はどのくらいですか

最初の1〜2年は同年代の平均を下回ることがあります。教わる側の期間だからです。ただし転職者全体では賃金が増えた人が40.5%、減った人が29.4%で、増えたほうが11.1ポイント多くなっています。

「きついですか」への答えは、3つのうち2つはきついが、どれも予想の範囲内です。

問題は3つ目ではなく2つ目でした。入る会社が何を請けているかで、数年後の経験がまるごと変わります。

そこだけは、入る前に聞けます。

※ 産業別の入職・離職および離職率は厚生労働省「令和6年雇用動向調査」(産業別の入職と離職/産業、就業形態別入職率・離職率。離職率は一般労働者)に基づき、入職者数から離職者数を引いた差を掲載しています。有効求人倍率は同省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」職業別、採用で重視した点は同省「令和5年若年者雇用実態調査」事業所調査によります。いずれも情報通信業・情報処理通信技術者という区分の統計で、プログラマー職に限定した数値ではありません。配属や選考実務についての記述は、筆者が人材紹介に在籍した期間の見聞に基づく整理です。サービス内容・対象条件は公式サイトの記載(2026年8月時点)に基づくため、申込前に必ずご確認ください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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