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未経験からエンジニアを目指す人が増えすぎた、という話をよく見ます。
もう遅い、飽和している、今から入っても椅子がない。そう書かれていると、動くのが怖くなります。
実際のところどうなのかは、ハローワークの統計に出ていました。厚生労働省が毎月出している「一般職業紹介状況」に、情報処理・通信技術者という区分があります。求人が何件出て、何人が申し込み、何人が実際に就職したかまで載っています。
最新の令和8年7月分を開いてみました。
求人は、減っていなかった
まず数から確かめます。前の年の同じ月と比べた増減です。
| 前年同月比 | 情報処理 | 全職業 |
|---|---|---|
| 新規求人 | +2.0% | −1.2% |
| 有効求人 | −2.8% | −3.0% |
| 新規求職 | +6.7% | +2.8% |
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表より。常用(パート含む)・全国計。新規求職は、その月に新しく仕事を探しはじめた人の数。
全職業で求人が1.2%減っているなかで、情報処理・通信技術者の新規求人は2.0%増えています。求人が枯れているわけではありません。
一方で、新しく仕事を探しはじめた人は6.7%増えました。全職業の2.8%と比べると、2倍以上のペースです。
この時点で言えるのは、増えすぎという感覚のうち、応募する側が増えているという部分は正しい、ということです。
変わったのは、面接から先だった
同じ統計に、もう2つ数字があります。紹介件数と、就職件数です。
紹介件数は、ハローワークが求職者に求人を紹介した数。就職件数は、そこから実際に就職が決まった数です。
| 前年同月比 | 情報処理 | 全職業 |
|---|---|---|
| 紹介件数 | +19.3% | −0.9% |
| 就職件数 | −17.5% | −4.1% |
同上。情報処理・通信技術者は紹介6,732件に対し、就職390件。
紹介が19.3%増えて、就職が17.5%減っています。全職業ではどちらもほぼ横ばいなので、この開き方は情報処理だけに起きているものです。

増えすぎたと感じる場面は、たぶんここです。応募はできる。書類も通ることがある。それなのに決まらない。求人票の数を見ているかぎり、この変化は見えません。
「手に職」のなかでは、いちばん狭い
もうひとつ、見ておいたほうがいい数字があります。有効求人倍率です。求職者1人あたり何件の求人があるかを表します。
同上。令和8年7月・常用(パート含む)・全国計の有効求人倍率。
情報処理の1.34倍は、全職業の1.05倍より高い。事務職の0.29倍と比べれば4倍以上あります。人が余っている職種ではありません。
ただ、手に職と呼ばれる職種のなかに置くと、いちばん下です。建築で5.46倍、介護で3.82倍あるところを、情報処理は1.34倍で戦うことになります。
IT人材が足りないという話は本当です。ただしそれは、できる人が足りないという意味であって、応募者が足りないという意味ではありません。ここを取り違えると、求人倍率の高さを自分の通りやすさだと誤解します。
求人が減っていないのに決まらないなら、問題は入口の数ではなく要件との距離のほうです。ただ、その距離は落ちた通知からは分かりません。
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要件が上がっただけで、入口が消えたわけではない
人材紹介の会社にいたころ、企業がどういうときに採用の条件を上げるかを、何度も見ました。
応募が集まらない時期の企業は、頭数を確保しにいきます。要件を下げ、未経験でも取って中で育てる。逆に応募が集まる時期になると、同じ求人票のまま、選考でだけ基準を上げます。募集要項は変わらないのに、通る人だけが変わる。紹介が増えて就職が減るというのは、外から見るとこの形になります。
この状況で効くのは、経験の代わりになる材料をどれだけ持っているかです。何を触ってきたか、どこまで自分で作ったか、続けた証拠があるか。資格については、採用側が資格欄をどう見ているかを未経験のIT転職に資格は必要かにまとめました。企業側の評価順位はCCNAは無駄な資格かのほうで、調査データから確かめています。
それから、やめとけと言われる理由の大半は、この「入口の条件が上がった」という一点に集約されます。IT転職はやめとけと言われる理由で、内訳を分けました。
職種によっても事情は違います。Web系についてはWebエンジニアに未経験からなれるかで、作る仕事と直す仕事のどちらが動いているかを調べました。
SEについては、ソフトウェア作成者779,260人のうち20代が33.1%を占める若い職種だと分かりました。残業時間と合わせてシステムエンジニアはやめとけ?で確かめています。
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よくある質問
未経験からエンジニアになるのは、もう手遅れですか
求人の数だけを見れば、手遅れではありません。情報処理・通信技術者の新規求人は前年同月比で2.0%増えており、有効求人倍率も1.34倍と全職業平均を上回っています。変わったのは選考の通りやすさです。
なぜ増えすぎと言われるのですか
新しく仕事を探しはじめた人が前年同月比で6.7%増え、全職業の2.8%を上回っているためです。さらに紹介件数が19.3%増えたのに就職件数は17.5%減っており、応募が増えて決定が減る形になっています。
それでもIT人材は不足しているのですか
職種としての需要は残っています。ただし不足しているのは実務ができる人で、応募者そのものは増えています。この2つを分けて考えないと、求人倍率の高さを自分の通りやすさだと誤解します。
増えすぎたから無理、ではありませんでした。
増えたぶんだけ、選ばれる理由がはっきり要るようになった。見るべきなのは求人の数ではなく、そこで何を比べられているかです。
※この統計はハローワークを通じた求人・求職の数字です。IT職は民間の転職エージェントや企業への直接応募も多いため、市場全体の規模をそのまま表すものではありません。ここで読み取れるのは、同じ経路のなかで前の年から何がどう動いたか、という変化の向きです。
参考出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表(職業別・常用(パート含む)・全国計)。※選考基準に関する記述は、筆者がIT・エンジニア領域の人材紹介に在籍していた際に企業から受けた要望や選考の傾向に基づく整理です。


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