テクニカルサポートとは何か。事務の職業か、IT職か。国の職業分類は今、線を引き直している

夕方のサポートセンターで、ヘッドセットをつけた女性が2台のモニターの前でキーボードを打っている様子を肩越しに描いたペン画。仕切りに「テクニカルサポート」の札、奥のホワイトボードに「本日の問い合わせ 42件」と書かれている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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2026年9月28日、国の統計に使う職業分類を変える案が、総務大臣から統計委員会に諮問されました。

案には、新しい職業として「ITヘルプデスク」が入っています。導入済みのシステムなどについて利用者からの問い合わせに答え、障害が起きたときの課題の診断と解決を支援する仕事です。

いま「テクニカルサポート」と呼ばれている仕事のうち、ITのシステムや機器の問い合わせに答えるものは、案ではここに入ります。

ところが、ハローワークで使う厚生労働省編職業分類では、同じテクニカルサポートでも、市販の製品の問い合わせに電話やメールで応対する人は事務の職業、社内に常駐してヘルプデスクを担う人はIT職と、分けて扱われています。

テクニカルサポートとは何か。国の分類がこの仕事をどう扱ってきたかをたどりながら、仕事の中身、年収、入り方を確かめます。

テクニカルサポートは、製品やシステムの「困った」に答える仕事です

テクニカルサポートは、製品やシステムを使う人からの技術的な問い合わせに、電話・メール・チャットなどで答える仕事です。近い仕事に、ヘルプデスクやユーザーサポートがあります。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に「テクニカルサポート」という名前の職業ページはなく、いちばん近いのは「ヘルプデスク(IT)」です。仕事はこう説明されています。

システムや情報機器などを使用している時に生じる疑問やトラブル、クレーム等利用者からの問い合わせに電話、メール、あるいは出向いて対応する。厚生労働省 job tag「ヘルプデスク(IT)」

job tagは、社員からの問い合わせに答える社内向けと、社外からの問い合わせに答えるものがあり、後者をユーザーサポートと呼ぶこともある、と書いています。

対応の仕方も2つあります。最初の窓口として受け付けて専門の担当につなぐ形と、トラブルの最後まで一貫して対応して解決に導く形です。どちらの形も、job tagでは同じ「ヘルプデスク(IT)」の仕事として説明されています。

今の分類では、製品の問い合わせ窓口は事務、社内のヘルプデスクはIT

厚生労働省編職業分類(令和4年改定)の職業名索引では、似た名前の職業が、名前の後ろの言葉で別の項目に分かれていました。

表1 サポート系の職業名と、国の分類での置き場所

職業名 番号 大分類
テクニカルサポート技術員 010-05 研究・技術
ユーザーサポートエンジニア 010-05 研究・技術
テクニカルサポート受付係(電話によるもの) 036-01 事務
ユーザーサポート受付係(電話によるもの) 036-01 事務
チャットサポートスタッフ 036-04 事務
パソコン訪問サポート員 058-99 サービス

010-05=ITヘルプデスク、036-01=コールセンターオペレーター、036-04=インターネット応接等事務員、058-99=他に分類されないサービスの職業。大分類は「研究・技術の職業」「事務的職業」「サービスの職業」
出典:労働政策研究・研修機構「第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業名索引」「職業分類表」

「技術員」「エンジニア」は010-05 ITヘルプデスクに、「受付係(電話によるもの)」は036-01 コールセンターオペレーターに入ります。

線の引き方は、010-05の説明に書かれています。市販のハードウェアやソフトウェアの操作方法・設定方法について、電話やメールで問い合わせに答える仕事は、036-01に分類する、という注記です。

IT企業に勤めていても同じです。ソフトウェア開発会社のコールセンターで、電話で設定方法や操作方法の問い合わせに答える仕事も、036-01に入るとされています。

一方、社内に常駐するなどして、操作方法などの問い合わせに電話やメール、出向いて応対したり、コンピュータの設定、OS・ソフトウェアの保守、障害時の対応などを行ったりする仕事が、010-05 ITヘルプデスクです。

社内に常駐して、社内システムやIT機器の操作方法について電話で社員の問い合わせに応じる仕事も、010-05に入ります。

職業は勤め先の業種ではなく仕事の中身で決め、2つにまたがるときは時間の長いほうで決めます。

コンピュータ機器そのものを客先で直す仕事は、さらに別の職業に分かれます。フィールドエンジニアとはで確かめました。

この線は、少しずつ引き直されてきました。

統計の基準である総務省の日本標準職業分類(平成21年)では、コールセンターオペレーターは電話交換手やテレフォンアポインターと同じ「電話応接事務員」で、「ヘルプデスク」という言葉は出てきません。

2022年の厚生労働省編の改定で、電話やインターネットで応対する事務の仕事が新しい中分類としてまとめられ、社内のヘルプデスクもITの項目として独立しました。社内SEとの関係は社内SEとは何かで確かめました。

仕事の中身は、原因を特定する力で差が出る

2つの仕事の中身は、job tagの数字でも分かれています。働く人への調査で、ヘルプデスク(IT)は24のタスクのうち、電話・メールでの問い合わせへの対応を96.4%の人が実施していました。

ほかにも、トラブルの1次切り分けを90.9%、専門の担当に連絡するエスカレーション対応を89.1%、利用者のパソコンなどにリモート接続して障害に対応することを74.6%の人が実施していました。

コールセンターオペレーターは7つのタスクで、顧客からの情報を復唱して確認するが96.8%、クレームへの応対が93.7%でした。求められる力の数字を並べると、違いがはっきりします。

表2 ヘルプデスク(IT)とコールセンターオペレーターの能力の数字

項目 ヘルプデスク コールセンター
傾聴力スキル(7点満点) 4.4 4.8
故障等の原因特定スキル(7点満点) 2.8 0.8
設置と設定スキル(7点満点) 2.7 1.0
コンピュータと電子工学知識(5点満点) 2.0 0.5
電話での会話仕事の性質(5点満点) 3.9 5.0

ヘルプデスク=job tag「ヘルプデスク(IT)」、コールセンター=job tag「コールセンターオペレーター」。働く人へのWeb調査の結果(スキル2021年、知識・仕事の性質2023年)
出典:厚生労働省 job tag「ヘルプデスク(IT)」「コールセンターオペレーター」しごと能力プロフィール

同じサポートセンターで、手前の男性がヘッドセットで電話を受けながらノートにメモを取り、奥の女性が検証用の机でノートパソコンとネットワーク機器のケーブルを確かめているペン画

聞く力は、どちらも高い水準です。差が大きいのは、故障の原因を特定する力と、設置・設定の力、コンピュータの知識で、いずれもヘルプデスク(IT)のほうが高い数字でした。

ただ、job tagの数字は働く人への調査の結果で、分類の基準ではありません。

厚生労働省編の分類表がなお書きで線を引いているのは、社内に常駐して応対するのか、市販品や受託の窓口として電話やメールで応対するのか、という働き方の違いです。

年収と働き方も、電話の応接とITの運用で分かれる

テクニカルサポートだけの賃金統計はありません。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で近いのは、コールセンターオペレーターが入る「電話応接事務員」と、job tagのヘルプデスク(IT)が年収の表示に使う「その他の情報処理・通信技術者」です。

表3 電話応接とITの運用・保守の年収と雇用の形

項目 電話応接 IT運用
年収の目安 約407万円 約610万円
正規の職員・従業員 32.9% 86.0%
派遣社員 20.9% 5.5%
パート・アルバイトなど 43.6% 3.8%

電話応接=電話応接事務員(電話交換手・テレフォンアポインターなどを含む)、IT運用=その他の情報処理・通信技術者(システム保守技術者・サーバー管理者・電気通信技術者などを含む区分。job tagの職業分類対応表でヘルプデスク(IT)が対応づけられている区分で、ヘルプデスク単独の値ではない)。年収の目安は、短時間労働者を除く一般労働者について、6月分のきまって支給する現金給与額×12+前年の年間賞与で編集部が算出した値(民営事業所、企業規模10人以上、2025年)。雇用の形は、2020年10月1日時点で各職業の就業者の総数(役員・自営業主などを含む)に占める割合で、編集部の算出。3つを足して100%にならない分は、役員・自営業主などです。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種 第1表・第2表、総務省「令和2年国勢調査」抽出詳細集計 第10表

電話応接事務員の年収の目安は約407万円で、事務従事者の全体(約541万円。職種第2表から同じ式で算出)より約134万円低い水準です。働く人の3人に2人ほどが、派遣やパートなど正社員以外の形で働いていました。

求人の出方も違います。ハローワークの「一般職業紹介状況」(令和8年7月分、常用(パートを除く))で、電話応接事務員を含む一般事務従事者の有効求人倍率は0.28倍、情報処理・通信技術者は1.50倍でした。

ITの側の入口には、インフラの運用・監視もあります。仕事の中身はインフラエンジニアとはにまとめました。

市販品の問い合わせを電話で受ける仕事と、ITの運用・保守の仕事とでは、国の分類が違います。それぞれが入る区分の統計でも、年収や雇用の形に差がありました。

ただ、技術の側に移ろうと思っても、IT業界の経験がないと、どの会社のどの仕事なら入れるのかが見えにくいところです。

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「テクニカルサポート」を名乗る詐欺もある

テクニカルサポートを名乗る詐欺にも触れておきます。パソコンに偽のウイルス感染の警告を出し、画面の番号に電話をかけさせて、サポート料などの名目でお金をだまし取る手口です。

警察庁によると、この「サポート名目」の詐欺の認知件数は、令和7年に1,048件、被害額は14.9億円でした。

令和8年上半期(暫定値)の認知件数は735件で、前年同期より10.4%増えています(被害額は8.3億円で、13.3%減)。

情報処理推進機構(IPA)の安心相談窓口には、2026年4〜6月に「ウイルス検出の偽警告」の相談が1,428件寄せられ、手口別で最も多くなっていました。

国民生活センターは、次のように注意を呼びかけています。

日本マイクロソフト株式会社やその関係者等が、消費者のパソコン画面に警告文を表示して電話をかけるよう求めることはありません。国民生活センター「パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意!」(令和6年3月27日)

IPAは、画面いっぱいの警告に電話番号が出ていたら偽物と考え、電話をかけないこと、電話しても遠隔操作のソフトを入れないことを勧めています。

困ったときは、画面に出た番号ではなく、メーカーの公式サイトなどで自分で調べた窓口に連絡してください。

2026年の改定案では、線の引き方が変わる

冒頭の諮問に戻ります。諮問された日本標準職業分類の案は、「情報処理・通信技術者」の中に「ITヘルプデスク」を新しく置いています。

案をまとめた総務省の職業分類改定研究会の資料では、この職業を次のように説明しています。

情報処理システム、ソフトウェア、ハードウェアなどに関連する専門知識を活用し、導入済みの情報処理システム等に関する利用者からの問合せ対応、障害発生時の課題の診断及びその解決を支援する職務に従事するもの総務省 第25回職業分類改定研究会(令和8年7月28日)資料6 事務局案「098 ITヘルプデスク」

一方、電話やインターネットなどで商品の注文や問い合わせに答える仕事は「コールセンター等事務員」とされています。

導入済みの情報処理システム等について利用者からの問い合わせに答える仕事は、ITヘルプデスクに入れるただし書き付きです。

今の厚生労働省編は、社内に常駐して応対するか、市販品などの問い合わせに電話やメールで応対するかで分けています。統計の基準である日本標準職業分類の案は、情報処理システム等の問い合わせかどうかで分ける形です。

案が変えるのは日本標準職業分類で、ハローワークで使う厚生労働省編とは別の分類です。総務省の資料は、民間企業へのアンケートを踏まえてITヘルプデスクを新しく立てた、と説明しています。

仕事そのものも変わり始めています。IPAの「DX動向2026」(2025年度調査)では、AIを導入・試験利用・検討している企業(1,191社)の33.4%が、AIの用途に「問合わせ対応(社内・社外)」を挙げていました。

日本コンタクトセンター協会の2025年度の調査でも、回答した受託企業68社のうち33社が生成AIをセンター運営の実務で使っていました。

同じ調査で、「エンジニア(システム・IT)」が「不足している」「やや不足している」と答えた企業も、68社のうち33社ありました。

改定案のとおりになれば、ITの問い合わせに答え、障害が起きたときの課題の診断と解決を支援する仕事は、統計の上でもIT職としてまとまります。一方で、問い合わせ対応にはAIが入り始めています。

いまIT業界でサポートやヘルプデスクをしているなら、自分の経験が技術職としてどう評価されるのかを、一度確かめておきたいところです。

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よくある質問

テクニカルサポートとヘルプデスクの違いは何ですか?

言葉の使い分けを定めた公的な定義はありません。job tagは、ヘルプデスクには社内向けと社外向けがあり、社外向けをユーザーサポートと呼ぶこともあると書いています。厚生労働省編職業分類では、社内に常駐するなどして、社員の問い合わせへの応対や設定・保守・障害対応を行う仕事がITヘルプデスク(010-05)です。市販のハードウェア・ソフトウェアについて電話やメールで問い合わせに答える仕事は、コールセンターオペレーター(036-01)です。呼び名より、誰からの問い合わせに、どんな形で応対するかで分かれます。

テクニカルサポートはきついですか?

job tagの「ヘルプデスク(IT)」は、基本は週休2日制だが土日に出勤することもあり、顧客が24時間サービスをしている場合などは交代制になると書いています。「コールセンターオペレーター」も、24時間365日対応のセンターでは勤務が交替制です。コールセンターオペレーターでは、クレームへの応対を93.7%の人が実施していました。

未経験からテクニカルサポートになれますか?

job tagの「ヘルプデスク(IT)」は、入職に特に学歴や資格は必要とされないとし、入職後に半年程度のOJTで研修を受けると書いています。働く人に入職前に必要な実務経験を聞いた結果は、「特に必要ない」がヘルプデスク(IT)で54.9%、コールセンターオペレーターで61.5%でした。

テクニカルサポートに役立つ資格はありますか?

必須の資格はありません。job tagの「ヘルプデスク(IT)」は、関連資格として基本情報技術者、ITパスポート、情報処理安全確保支援士、MOSを挙げています。ITパスポートの出題範囲には、サービスデスク(ヘルプデスク)の役割も入っています。民間の資格では、CompTIA A+ が公式サイトで、多くのテクニカルサポートの求人に載っている資格だと説明しています。なお、IPAの試験は2027年度から新しい制度に移る予定です。

9月28日に諮問された改定案は、年内の決定が予定されています。案のとおりに決まれば、統計の上ではITの問い合わせに答える仕事がIT職としてまとまります。

ただ、求人票の「テクニカルサポート」は、いまも市販品の問い合わせに電話で答える仕事から、社内で障害の対応まで担う仕事まで、幅広く指しています。応募の前に、誰からの問い合わせに、どこまで対応する仕事なのかを確かめてください。

参考出典
総務省統計委員会 諮問第213号「日本標準職業分類の変更について」・第233回統計委員会 資料(諮問第213号の概要)・第25回職業分類改定研究会 資料6・「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」/総務省「令和2年国勢調査」抽出詳細集計
労働政策研究・研修機構「第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業分類表」・「職業名索引」
厚生労働省 job tag「ヘルプデスク(IT)」「コールセンターオペレーター」・「令和7年賃金構造基本統計調査」・「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」
警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」・「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」/情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期]」・「DX動向2026」・「ITパスポート試験 シラバス」
国民生活センター「パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意!」/日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」/CompTIA「CompTIA A+」

「テクニカルサポート」は国の統計の区分になく、年収と雇用の形は電話応接事務員とその他の情報処理・通信技術者の値です。日本標準職業分類の改定案は諮問中のもので、変わる可能性があります。job tagのタスク・スキル・実務経験は、働く人へのWeb調査の結果です。サービス内容は2026年9月時点の各公式サイトの記載です。申し込みの前に、最新の内容を公式サイトで確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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