社内SEとは何か。国の職業分類に「社内SE」は無く、「社内システムエンジニア」は設計か運用かで2つに分けられていた

会社のフロアを斜め上から見たアイソメトリックの図。入口の案内図に「情報システム部」とあり、左で箱と矢印の図を指して企画の打ち合わせ、中央でサーバーの前のモニターを見る運用の担当、右のカウンターでスーツの社員からノートパソコンを受け取る社内ヘルプデスクの担当が描かれている 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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2022年、厚生労働省の職業分類が改定され、「ITヘルプデスク」が独立した項目になりました。例示には「社内ヘルプデスク」「社内サポートデスク」が並んでいます。

同じ分類表に、「社内SE」という言葉はありません。あるのは「社内システムエンジニア」で、仕事が設計中心か、運用中心かによって、2つの項目に分けて載っています。

社内SEは、厚生労働省の職業分類では1つの項目にまとまっていません。会社の中で、自社のITを担う人の呼び名です。国の職業分類と、企業のIT部門の調査で、中身を確かめます。

社内SEは、国の職業分類では1つの項目になっていない

厚生労働省編職業分類(令和4年改定)で、社内SEの仕事に当たる例示を拾うと、次の3つの項目に分かれていました。

主な仕事 入る項目(職業分類の例示)
システムの企画・設計 010-02 ITシステム設計技術者社内システムエンジニア(主にシステムの設計に従事するもの)
システムの運用・管理 010-04 ITシステム運用管理者社内システムエンジニア(主にシステムの運用に従事するもの)、システム管理者
社員からの問い合わせ対応 010-05 ITヘルプデスク社内ヘルプデスク、社内サポートデスク

出典:厚生労働省編職業分類(令和4年改定)、労働政策研究・研修機構(JILPT)「第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業分類表」

どの項目に入るかは、勤め先の業界では決まりません。分類表の総説は、職業の決め方をこう書いています。

求人事業所の産業分類、雇用形態、雇用期間とは独立に、その仕事に基づいて決定するJILPT「第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業分類表」第2章

仕事が複数の項目にまたがるときは、原則として、従事する時間の長いほうに分類します。社内SEかどうかではなく、何に一番時間を使っているかで分かれるということです。

総務部の中でシステムの運用・管理を担当している人も、総務事務員ではなく、010-04のシステム管理者に入ります(分類表の総務事務員の注記)。

一方、総務省の日本標準職業分類(平成21年)と、厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、「社内システムエンジニア」を「ソフトウェア作成者」の例に挙げています。

主にシステム全体の構成を企画する人は、どちらでも「システム設計者」「システムコンサルタント・設計者」に入ります。国の分類の中でも、社内SEの置き場所はそろっていません。

※市販の製品の問い合わせに電話やメールで答えるテクニカルサポートは、ITヘルプデスクではなく、事務の職業のコールセンターオペレーターに分類されます。テクニカルサポートとは何か

情シスとの違い

労働政策研究・研修機構(JILPT)の職業調査は、社内SEを「自社の情報システムの企画、システムの運用など」をする職業として扱っています。

情シスは一般に「情報システム部門」という部署の略として使われ、社内SEは、そこなどで自社のシステムを担う人の呼び名として使われています。社内SEの向き不向きは、別の記事で扱いました。

社内SEやめとけの正体(職種でなく会社の話)

情シスの仕事は、企画は自分で、作るのは外に頼む

社内SEが実際に何をしているのかは、企業のIT部門への調査で見えます。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、東証上場企業などのIT部門長に、工程ごとに内製か外部委託かを聞いています。

工程 内製寄り 外部委託寄り
システム企画 70.9% 17.6%
機能要件定義 46.1% 31.5%
非機能要件定義 37.6% 41.2%
設計・実装・テスト 18.5% 63.4%
運用・保守 42.4% 38.3%

内製寄り=「ほぼ内製」と「内製が多い」の合計、外部委託寄り=「外部委託が多い」と「ほぼ外部委託」の合計(当編集部の算出。残りは「同程度」)。2025年度調査、回答871〜903社。出典:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」図表7-2-3

システム企画は7割の企業が内製寄りで、設計・実装・テストは6割あまりの企業が外部委託寄りです。何を作るかは社内で決め、作る工程はベンダーに頼む企業が多いということです。

ただし、運用・保守は内製寄り42.4%、外部委託寄り38.3%とほぼ分かれています。社内SEの仕事の中心がどこにあるかは、会社によって違います。

事業会社のIT部門とベンダーの開発フロアを渡り廊下でつないだアイソメトリックの図。左の少人数のフロアから社内SEが資料の束を抱えて渡り廊下を進み、右の開発フロアの入口でエンジニアが受け取ろうと手を伸ばしている。右のフロアでは6人がモニターに向かって開発している

IT予算は、多くを今の事業を回すことに使っています。2025年度調査では、「現行ビジネスの維持・運営」にあてる予算と「ビジネスの新しい施策展開」にあてる予算の比が、平均で75.9対24.1でした。

少人数の部署が多い

JUASの企業IT動向調査で、IT部門の人数の分布が載っている最新の回は2020年度調査です。IT部門の要員が10人未満の企業は、全体(1,134社)の55.8%でした。

売上高100億円未満の企業(280社)に限ると88.9%が10人未満で、この層のIT部門の要員は平均4.5人です。

IT部門のタイプは、業務部門を支える「ユーザー部門支援型」が52.5%と過半数でした(2024年度調査)。将来の姿としては、「企画・マネジメント型」を挙げた企業が33.1%で最も多くなっています。

求人票の上でも、社内SEの中身は1つではありません。2018年に公表された経済産業省の実証事業では、求人票の仕事内容からAIが職種を判別しました。

「社内SEを担当します。」という文は、ヘルプデスクと判別された求人にも、プログラマーと判別された求人にも出てきました(ヘルプデスクの判別の適合率は33.4%)。

求人票の「社内SE」の中身を確かめる

同じ「社内SE」の求人でも、企画が中心の席、運用が中心の席、問い合わせ対応が中心の席があります。求人票の職種名だけでは、どれなのかが分かりにくいのが実情です。

社内SE転職ナビは、社内SE・情シス(情報システム部門)の転職に特化した専門サービスです。公式サイトには「社内SE専門ならではの 自社開発・情シス求人をご紹介!」とあります。

だから、紹介された求人が企画・運用・問い合わせ対応のどれが中心の仕事なのかを、社内SE転職ナビの担当者に聞けます。面談は無料です。

エンジニアの実務経験がある方が対象です(実務未経験・エンジニア以外の職種は対象外)。45歳未満で、東京・神奈川・千葉・埼玉、大阪・京都・兵庫、北海道のいずれかでの勤務を希望する方が対象になります。

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社内SEの年収は、国の統計でどう見えるか

社内SEだけの年収を集計した国の統計はありません。賃金構造基本統計調査では、社内システムエンジニアは「ソフトウェア作成者」の職種例に挙がっています。

主にシステム全体の企画をする人は「システムコンサルタント・設計者」に入るため、社内SE全員がこの値に含まれるわけではありません。ソフトウェア作成者の年収を、企業の規模別に並べます。

企業規模 年収 平均年齢
1,000人以上 640.9万円 37.6歳
100〜999人 555.0万円 36.2歳
10〜99人 518.2万円 37.3歳

ソフトウェア作成者(プログラマーなどを含む)・男女計・産業計。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で当編集部が算出。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表

この職種には、社内SE以外のプログラマーなども入っています。また、情報システム部門の部長や課長は「管理的職業従事者」に分類されるため、この平均には含まれません。

社内SEを職業名として調べた公的な調査に、JILPTが2013年に行ったWeb調査(社内SEの回答146人)があります。

年収の中央値は500万円で、分析対象の192職業の年収中央値を平均した値(388万円)を上回りました。

平均年齢は43歳で、正規の社員が91.8%(192職業の平均は61.8%)でした。職業への満足度は56点で、平均の57点とほぼ同じです(100点満点)。

「社内SEは楽すぎ」「勝ち組」という声もあります。この調査は、仕事の楽さそのものは測っていません。分かるのは13年前の姿で、満足度は平均並み、年収の中央値は平均より高く、正規の社員の割合が高い職業でした。

未経験から社内SEになるには、何が要るのか

職業分類では、社内SEの仕事は設計・運用・ヘルプデスクという技術の仕事です。分類表はこの中分類について、通例「専門的知識と実務的経験を必要とする」と書いています。

社内SE転職ナビのよくある質問も、扱う求人について「即戦力を求めるものが多いため、実務経験を重視する傾向にあります」と書いています。

企業のIT部門は、人を育てて足りない分を埋めようとしています。JUASの2024年度調査では、IT人材が不足したときの対応策として、ほとんどの人材タイプで「既存社員のスキルアップ」が1位でした。

外からの入り方として、job tagは、IT運用・管理の仕事から「他の業界のIT部門へ転職する者」がいると書いています。運用・管理の経験を積んでから、別の業界の会社のIT部門へ移る道です。

同じページは、この仕事の中途採用について「経験者が求められることが多い」とも書いています。

社内SEへの転職のしやすさと、IT業界の外にいる技術者の数は、こちらで確かめました。

社内SEへの転職は難しいのか。情報処理技術者の席を数えたら、45万人分がIT業界の外にあった

非IT企業の人が多く受ける試験

社内SEに必須の資格はありません。ただ、情報処理技術者試験の中には、IT企業の外で働く人が多く受ける区分があります。

情報セキュリティマネジメント試験は、対象者像を「情報システムの利用部門にあって、情報セキュリティリーダーとして」働く人としています。ここでいう利用部門は、営業・総務・経理など情報システムを使う側の部門です。

令和7年度の社会人の応募者は、非IT企業に勤める人が15,671人で、IT企業の13,281人を上回りました。

ITパスポート試験では、社会人の応募者のうち非IT系企業の人が179,995人で、IT系企業の40,715人の4倍を超えています(令和7年度)。

未経験から、社内SEを目指すなら

社内SEの仕事は、設計・運用・問い合わせ対応という技術の仕事で、中途採用では経験者が求められることが多い仕事です。

未経験から目指すなら、まずIT企業などでエンジニアとして経験を積み、その経験を持って事業会社のIT部門へ移る道があります。

ユニゾンキャリアはIT・Web業界専門の転職エージェントで、IT業界が未経験の人の転職も支援しています。

だから、社内SEを先の目標に置いたうえで、最初にどんな会社で、どの仕事の経験を積むかを相談できます。面談は無料です。

対象は20代・高卒以上で、東京・埼玉・神奈川での就業を希望する方です(居住地は問いません)。

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よくある質問

社内SEとは簡単に言うと何ですか?

会社の中で、自社の情報システムの企画・設計、運用・管理、社員からの問い合わせ対応などを担う人の呼び名です。厚生労働省の職業分類(令和4年改定)に「社内SE」という言葉はなく、「社内システムエンジニア」が、設計中心なら「ITシステム設計技術者」、運用中心なら「ITシステム運用管理者」に分けて載っています。社内ヘルプデスクは「ITヘルプデスク」に入ります。

社内SEと情シスの違いは何ですか?

情シスは一般に「情報システム部門」という部署の略として使われ、社内SEは、そこなどで自社のシステムを担う人の呼び名として使われています。厚生労働省の職業分類では、職業は勤め先の業界や部署ではなく仕事の内容で決まるため、総務部でシステムの運用・管理を担当している人も「システム管理者」に分類されます。

社内SEとSEの違いは何ですか?

仕事の相手と、どこまで自分で作るかが違います。社内SEは自社の社員や業務部門のためにシステムを担い、SIerなどのSEは顧客企業のシステムを作ります。JUASの2025年度調査(東証上場企業などのIT部門長が回答)では、システム企画を「内製寄り」とする企業が7割、設計・実装・テストを「外部委託寄り」とする企業が6割あまりでした。

社内SEの年収はいくらですか?

社内SEだけの年収の国の統計はありません。令和7年賃金構造基本統計調査で、社内システムエンジニアが職種例に挙がる「ソフトウェア作成者」の年収(当編集部の算出)は、企業規模1,000人以上で640.9万円、100〜999人で555.0万円、10〜99人で518.2万円です。JILPTの2013年の調査では、社内SEの年収の中央値は500万円でした。

社内SEという言葉の中には、企画する席、動かし続ける席、社員の質問に答える席が入っています。あなたが思い描いている社内SEは、そのうちのどの席でしょうか。

求人票を見るときは、職種名より先に、仕事の時間の多くを何に使うのかを確かめてみてください。

参考出典
厚生労働省厚生労働省編職業分類(令和4年改定)/労働政策研究・研修機構「第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業分類表」・「第5回改定厚生労働省編職業分類の解説」
総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」/厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種 第1表、役職及び職種解説)・job tag「運用・管理(IT)」
日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書2026」・「企業IT動向調査報告書2025」・「企業IT動向調査報告書2021」
労働政策研究・研修機構 資料シリーズNo.135「職業の現状と動向―職業動向調査(就業者Web調査)結果―」(2014年)・No.203「仕事の世界の見える化に向けて」(2018年、経済産業省の実証事業の報告を収録)
社内SE転職ナビ「よくある質問」(2026年9月確認)
情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験 統計資料」(情報セキュリティマネジメント試験)・「令和7年度 iパスの年間応募者数等について」

賃金構造基本統計調査の職種は、仕事の内容で分けた区分で、社内SEだけを取り出すことはできません。JUASの調査は東証上場企業などのIT部門長への調査で、中小企業全体の姿ではありません。JILPTの職業動向調査は2013年のWeb調査で、参考値です。サービス内容は2026年9月時点の各公式サイトの記載です。申し込みの前に、最新の内容を公式サイトで確認してください。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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