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プログラミングスクールの相談で、いちばん多い質問がこれです。
「結局、いくらかかりますか」
この質問には、正確に答えると2つの数字があります。スクールに払う金額と、最終的にあなたの財布から出る金額です。この2つは、制度を使うかどうかで数十万円ずれます。
知らずに総額だけを見て諦める人が、けっこういます。もったいないので、内訳から順に書きます。
そもそも、その金額は何に対して払っているのか
スクールの受講料が高く感じるのは、何にお金がかかっているのかが見えないからです。中身は、だいたいこの3つに分かれます。
ひとつ目は、人件費。講師が教室にいる、質問にその場で答える、コードを見て直す。ここが最も重く、料金差の大半はここで生まれます。動画を見るだけの教材が安いのは、人が張り付いていないからです。
ふたつ目は、場所と環境。教室、機材、演習用のサーバー。オンライン専業が安いのは、ここを持っていないからです。
みっつ目は、就職支援。履歴書の添削、面接練習、企業の紹介。ここに力を入れるほどコストは上がります。ただし前回書いたとおり、この部分を企業からの紹介料で賄うと「無料スクール」になり、代わりに就職先の選択肢が狭まります。
つまり受講料とは、人が教えてくれる時間の量に、ほぼ比例します。安さの理由が説明できないスクールは、この3つのどれかを黙って削っています。
価格帯は、おおよそ3つに分かれる
私が相談を受ける中で見てきた価格帯を整理すると、こうなります。金額はコースや期間で動くので、幅で捉えてください。
録画された講座と課題が中心。質問はチャットで、回数制限つきのことが多い。自分でスケジュールを引ける人向け。挫折率が高いのはこの層です。
分からない場所をその場で聞ける。教室を持つスクールはここが中心価格帯で、資格取得までを含むコースが多い。未経験からの学び直しで最も選ばれる帯です。
半年〜1年の長期で、転職成功までを約束するタイプ。金額が大きいぶん、保証の条件(対象年齢・エリア・返金要件)を契約書で確認する必要があります。
ここまでが、いわゆる「総額」の話です。ここから、実際に財布から出る額の話に移ります。
受講料の半分以上が戻ってくる制度がある
厚生労働省の教育訓練給付制度です。国が指定した講座を修了すると、支払った受講料の一部がハローワークから戻ってきます。名前は聞いたことがあっても、率まで知っている人は多くありません。
※ 表は横にスクロールできます →
| 種類 | 給付率 | 上限額 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 | 幅広い講座 |
| 特定一般教育訓練 | 40% → 50% | 20万円 → 25万円 | 速やかな再就職に資する講座 |
| 専門実践教育訓練 | 50% → 70% → 80% | 年40万円 → 56万円 → 64万円 | 中長期的なキャリア形成に資する講座 |
矢印は、条件を満たすと上乗せされるという意味です。特定一般は、資格を取り、修了から1年以内に雇用保険の被保険者として就職すると40%が50%に上がります。専門実践は、受講中に6か月ごとに50%が支給され、資格取得と就職で70%、さらに修了後の賃金が受講前より5%以上上がると80%まで上がります(厚生労働省「教育訓練給付金」より。令和6年10月以降に開始する講座が対象)。
数字だけ見ても実感がわかないので、40万円のコースで計算してみます。
給付率から計算した一例です。実際の支給額は講座の指定区分・対象経費・上限額によって変わります。申請前にハローワークで必ず確認してください。
40万円が12万円になる。同じ講座でも、制度を知っているかどうかでこれだけ違います。冒頭で「2つの数字がある」と書いたのは、この意味です。
ただし、誰でも使えるわけではない
ここは正直に書きます。この制度は雇用保険が土台なので、加入歴が要件になります。ハローワークインターネットサービスの案内では、要件はこう決まっています。
※ 表は横にスクロールできます →
| 立場 | 必要な加入期間 | 離職している場合 |
|---|---|---|
| 在職中(被保険者) | 3年以上 | — |
| 離職後 | 3年以上 | 離職から1年以内 |
| 初めて受給する人 | 1年以上(専門実践は2年以上) | 同上 |
ポイントは3行目です。この制度を使うのが初めてなら、加入1年(専門実践は2年)で足ります。3年と聞いて諦めた方も、初回なら届いている可能性があります。正社員として1〜2年働いた経験があれば、それだけで条件を満たしていることは珍しくありません。
自分が対象かどうかは、ハローワークで受給資格の照会をすれば確認できます。無料で、その場で分かります。スクールを選ぶ前にここを確認しておくと、検討する価格帯が変わります。
もうひとつ、日程の注意があります。専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、訓練前のキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを済ませる必要があります。申し込んでから慌てても間に合いません。スクール探しと並行して、ハローワークの予約を先に取っておくのが順番として正解です。
ひとり親の方には別枠もあります。自立支援教育訓練給付金(経費の60%)や高等職業訓練促進給付金など、自治体の窓口が担当する制度で、こちらは訓練を始める前に申請が必要です。順番を間違えると受けられません。
※ 具体的な金額の実例は「Winスクールの評判と料金を検証」で、公式の受講料と給付金を使った実質額まで出しています。
ここまでで、総額と実質額が別物だということは分かります。ただ、自分がどの給付率に当たるのか、そもそも指定講座なのかは、講座ごとに違います。
Winスクールは全国に教室があり、年齢やエリアの制限がありません。体験・説明会では実際に講座の一部を受けるので、料金表を見て計算するのではなく、自分が対象になる制度と実質いくらになるかを申し込む前に確認できます。総額だけを見て高いと判断して終わる、という間違いを避けられます。
\ 体験・説明会は無料です /
会社員が「経費で落とす」のは、ほぼ無理でした
費用を調べていると、経費にできないかという話が出てきます。結論から書くと、会社員の場合はほぼ通りません。制度はありますが、金額の壁が高すぎます。
使える制度は、国税庁の給与所得者の特定支出控除です。特定支出には7つの区分があり、そのうち「研修費」と「資格取得費」がスクール代に当たります。職務に直接必要であることを、勤務先かキャリアコンサルタントに証明してもらう必要があります。
問題は、控除が始まる金額です
この制度は、支出の全額が引けるわけではありません。特定支出の合計が「給与所得控除額の2分の1」を超えた分だけが対象です。年収別に、その線を計算しました。
| 年収 | 給与所得控除 | 控除が始まる額 |
|---|---|---|
| 300万円 | 98.0万 | 49.0万 |
| 400万円 | 124.0万 | 62.0万 |
| 500万円 | 144.0万 | 72.0万 |
| 600万円 | 164.0万 | 82.0万 |
年収500万円の人は、特定支出の合計が72万円を超えて、はじめて超過分が控除されます。
講師つき20万〜50万円のコースは、年収500万円だと1円も引けません。
60万円以上の転職保証つきでも、72万円の線には届かないことがほとんどです。通勤費など他の特定支出と合算はできますが、通勤費が会社から支給されている分は除きます。
年収が低いほど線も下がりますが、年収300万円でも49万円です。スクール代だけでこの線を超えるのは、価格帯の上限に近いコースを選んだ場合に限られます。
フリーランスと会社経営なら話が変わります
給与所得者ではなく事業所得がある場合は、必要経費として計上できる余地があります。ただしその支出が事業と直接関係することが前提で、これから始める仕事のための学習費は認められにくい部類です。個別の判断になるので、税理士か所轄の税務署に確認してください。
会社が費用を負担する場合は別です。国税庁の通達で、職務に必要な技術の習得費用を事業主が負担したときの扱いが定められています。在職中なら、自費で払う前に会社の制度を確認するほうが先です。
個人が使える制度としては、この記事で先に書いた教育訓練給付のほうが現実的です。経費で落とすより、給付金で戻すほうが条件も金額も合っています。
費用で失敗しないための、4つの見方
1. 総額ではなく、実質額と期間で比べる
50万円で給付対象の講座と、25万円で対象外の講座。専門実践で70%が支給されれば、前者の自己負担は15万円になり、25万円の講座より安くなります。パンフレットの数字を並べただけでは、順番が逆に見えます。
なお、費用とは別に「その講座が国の指定を受けているか」も確認できます。指定の審査基準には就職・在職率80%以上という条件があり、選ぶときの一次選別に使えます。詳しくはプログラミングスクールを国の指定基準で絞る方法にまとめました。
もうひとつ見るべきなのが期間です。同じ40万円でも、3か月で終わるコースと1年かかるコースでは、働き始める時期が9か月違います。年収300万円の職に就くとして、9か月早く現場に入れるなら、その差は受講料と同じ規模になります。費用は、支払額と失う時間の合計で見てください。
2. 給付対象講座かどうかを、先に聞く
指定を受けるにはスクール側の申請と要件クリアが必要なので、対象講座を持っていること自体が、運営体制の一つの目安になります。「対象コースはどれですか」と聞けば即答できるはずの質問です。
3. 「転職保証」の条件を、金額と同じ熱量で読む
高額帯によくある転職保証は、条件つきです。対象年齢の上限、勤務可能エリア、応募社数のノルマ、返金の申請期限。ここを読まずに契約すると、いざというときに保証が発動しません。
人材紹介にいたときの実感で言うと、保証の中身より、その保証を出せる根拠を聞いた方が早いです。どんな企業と付き合いがあって、去年は何人がどこに決まったのか。具体的な答えが返ってくるなら、その保証には裏付けがあります。
4. 出口が具体的かどうか
同じ金額でも、学んだ先が明確なコースの方が回収は早い。インフラならCCNA、事務・オフィス系ならMOSのように、資格と職種が繋がっているコースは費用対効果を計算しやすくなります。資格の効きめは職種によって違うので、そこも合わせて考えてください。
迷っているうちは、金額は決まらない
費用の話は、カタログを眺めていても答えが出ません。あなたが給付の対象かどうか、どのコースが指定講座か——この2つが決まって初めて、実際に払う金額が確定するからです。
そして、その2つはどちらも無料で確認できます。受給資格はハローワークで、指定講座はスクールの相談窓口で。ここを確かめないまま総額だけ見て諦めるのが、いちばんもったいない選択です。
受講相談で、「給付対象コースはどれですか」と聞いてみてください
Winスクールは全国に教室を持ち、オンラインにも対応したマンツーマン指導のスクールです。公式サイトによると教育訓練給付制度の対象コースを25講座以上用意していて、シスコシステムズ認定資格やMOSなど、出口の職種がはっきりした講座が揃っています。年齢の制限もありません。
受講相談は無料で、その場で対象コースと実質負担額の目安を確認できます。契約の場ではないので、金額を聞いて持ち帰るだけでも構いません。総額に驚いて検討をやめる前に、実質額を確かめてからにしてください。
\ 受講相談・体験は無料です /
なお、雇用保険の加入歴がなく給付を使えない20代の方は、費用ゼロで学べる無料スクールという入口もあります。ただし就職先の範囲が狭まる取引でもあるので、以前書いた「『無料プログラミングスクールはやめとけ』は本当か」で条件を確認してから検討してください。
よくある質問
教育訓練給付金は、受講前に申請するのですか
種類によります。専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、原則として受講開始前にハローワークで手続き(キャリアコンサルティングを含む)が必要です。一般教育訓練は修了後の申請です。順番を間違えると受けられないので、必ず先にハローワークへ確認してください。
給付金は、いつ振り込まれますか
基本は立て替えです。受講料はいったん全額を自分で支払い、修了後(専門実践は受講中6か月ごと)に申請して支給されます。手元の資金計画は総額ベースで立てておく必要があります。
分割払いを使うと、総額はどうなりますか
ローンやクレジットの分割は、回数によって手数料が乗ります。給付金は実際に支払った教育訓練経費が基準なので、手数料部分まで戻ってくるわけではありません。月々の負担で判断せず、手数料込みの総支払額を必ず確認してください。
安いスクールは、質が低いということですか
そうとは限りません。ただし料金差の大半は人が教える時間の量から生まれるので、安い講座は「自分で進められる人向け」だと考えてください。独学で挫折した経験がある方は、同じつまずき方を繰り返す可能性があります。
スクールの費用は、値札を見て諦めるものではなく、条件を確かめて動かすものです。給付の対象かどうか、指定講座はどれか。この2つを確認するだけで、同じ講座の値段が半分以下になることがあります。
高いか安いかを判断するのは、実質額が出てからで間に合います。
▶ 学ぶ前の全体像は「未経験からIT転職・現実的ロードマップ」、独学との比較は「プログラミング独学はなぜ挫折する」へ。
筆者:カツジン(平成2年生まれ・九州在住)。銀行で10年決算書を読み、そのあとM&A仲介とITエンジニアの人材紹介を3年。会社の値段と、人の市場価値が決まる瞬間を内側で見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。詳しくは運営者情報へ。
参考・出典 厚生労働省「教育訓練給付金」(給付率・上限額。令和6年10月以降に開始する講座が対象)/ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」(被保険者期間の要件・受講前手続き)/Winスクール公式サイト(給付対象コース数)。制度の要件は改正されることがあるため、申請前に必ずハローワークで最新の条件をご確認ください。価格帯は筆者が相談を受ける中で見てきた目安であり、公的な統計ではありません。
税制に関する参考出典:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」、国税庁「No.1410 給与所得控除」、国税庁「No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき」。控除が始まる額は給与所得控除額の速算表から当編集部が算出したものです。個別の適用可否は税理士または所轄の税務署にご確認ください。


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