大学中退の就職は厳しいか。中退理由を数えたら、4割は次に進むための中退だった

大学の門から離れた歩道でリュックを手に立ち止まり、来た道ではなく街へ続く前方を見ている若者を描いたエッチング風イラスト 未経験からIT転職
カツジン

書いている人:カツジン(元銀行員 → M&A仲介・IT人材紹介 → 経営)。企業が誰にいくら払うかを見てきた立場から書いています。詳しく

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大学を中退して、就職はどうなるのか。

いちばん多く検索されているのは「就職率」と「厳しいですか」でした。

先に立場を書きます。不利になる場面は実在します。ただし理由が誤解されています。元IT人材紹介として、まず人数から出します。

まず、何人が中退しているのか

文部科学省が毎年、全国の大学を調べています。

53,470人

1年間に大学を中退した人の数
(在籍者の2.04%)

出典:文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」(対象期間 2023年4月1日〜2024年3月31日・回答率96.8%)。短期大学を含めると56,710人、大学院・高専を含めた合計は65,540人です。

1年で5万人以上。50人に1人が中退している計算になります。

珍しいことではありません。ただ、周りに同じ立場の人がいないだけです。

中退理由を数えると、印象と違う

同じ調査に、中退した理由の内訳があります。

転学・進路変更等22.0%
学生生活不適応・
修学意欲低下
16.5%
就職・起業等14.4%
経済的困窮13.6%
学力不振7.3%
精神疾患6.6%
病気・けが等4.1%
次に進むための中退それ以外

出典:同上(単一選択・複合的な理由の場合は最も中心的なものに分類)。ほかに海外留学0.7%、その他13.8%、不明1.0%があります。

理由の内訳から1位は「転学・進路変更等」で22.0%。海外留学を含めると、37.1%が次に進むための中退でした。中退=ついていけなかった人、という前提は数字と合っていません。約4割は、辞めることを選んで辞めています。

「学力不振」は7.3%しかありません。中退=ついていけなかった人、という前提は、数字と合っていないということです。

約4割が、辞めることを選んで辞めている。ここは面接で説明できる材料になります。

それでも、就職で不利になる場面はある

ここは正直に書きます。中退が響くのは、能力を疑われるからではありません。選考のルートから外れるからです。

就職では何扱いになりますか

卒業していないため既卒扱いです。新卒枠には原則応募できません。ただし既卒可・第二新卒可の求人は普通に存在します

中退は隠せますか

隠さないでください。経歴詐称は入社後に判明した場合、解雇の理由になり得ます。年金記録や在籍確認で分かることもあります

では、どう書くのか

履歴書には中退と記載し、理由を一行で言える状態にしておく。聞かれて詰まるのが最も不利になります

ここが分かれ目採用側が見ているのは、中退したことではなく、そのあと何をしていたかです。空白期間を説明できるかどうかで、評価はまるで変わります。中退の事実そのものは、もう動かせません。

履歴書には、どう書くのか

書くか書かないかで迷う人が多いので、先に結論から書きます。書きます。そのうえで、書き方には決まった形があります。

学歴欄は「中途退学」と書く

入学の行と、退学の行を両方書きます。入学だけ書いて退学を書かないのは、書き漏れではなく経歴詐称になります。

表記は「中退」と略さず、「中途退学」と書いてください。大学が出す証明書の名称が「中途退学証明書」だからです。学部・学科まで正式名称で書き、年月は西暦か和暦のどちらかに統一します。

人材紹介にいたころ、中退者の履歴書を何百枚と見ました。書き方が理由で落ちた人は、記憶にありません。落ちるのは、書いていない場合と、書いてあるのに理由を聞かれて詰まる場合です。

書かなければ、どうなるか

入社後に判明すると、解雇の理由になり得ます。分かる経路は複数あります。年金記録、前職への在籍確認、入社手続きで求められる卒業証明書。

隠し通せる前提で組み立てると、内定が出たあとに崩れます。内定後に取り消しになった例を、実際に見ています。書いておけば起きなかった話です。

最終学歴は高卒になる。除籍とは、また違う

中退は最終学歴に含まれません。3年まで通っていても、最終学歴は高等学校卒業です。求人票の「大卒以上」に応募できないのはこのためで、能力の評価とは関係がありません。

もうひとつ、混同されやすいのが除籍です。中退は本人が退学届を出して学籍を離れること。除籍は学費の未納や在学年限の超過などで、大学の側が学籍を抹消することを指します。

実務で効いてくるのは、証明書が出るかどうかです。中退なら在籍期間の証明書が出ますが、除籍の扱いは大学によって分かれます。自分がどちらなのか、証明書が出るのかは、在籍していた大学に直接確認してください。ここは一般論では決まりません。

書類で落ち続けているなら、書類を飛ばす

中退が響くのは、多くの場合書類の段階です。面接まで行けば、その後の話で判断してもらえる。だから工程を飛ばせるかどうかが効きます。

ジェイックの就職カレッジは、無料の就職講座を受けたあと、書類選考なしで複数の企業と面接できる就職支援サービスです。対象に大学中退が明記されており、正社員経験がない人を前提に組まれています(やめとけと言われる理由の検証はこちら)。

対象の条件 18〜35歳・日本国籍の方が対象です。就職希望地は東京/神奈川/埼玉/千葉/愛知/岐阜/三重/大阪/京都/兵庫/福岡/熊本。この範囲外の方は対象外になります。

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面接で聞かれたときの答え方

面接の席で背筋を伸ばし、落ち着いた表情で面接官に説明している応募者を描いたエッチング風イラスト

人材紹介にいたとき、通る人の話し方には型がありました。

事実を先に、短く言う。「◯年次で中退しました」。ここで言い訳を足すと、印象が悪くなります
理由は一行で終える。方向を変えたかった、家庭の事情があった、体調を崩した。どれでも構いません。長く語らないことが大事です
そのあと何をしたかに、時間を使う。採用側が本当に知りたいのはここです。働いていた、勉強していた、資格を取った。何かしていれば十分です

逆にいちばん不利なのは、中退の話を長く弁明して、その後の話が薄いパターンです。順番を入れ替えるだけで通り方が変わります。

学歴そのものの影響については、高卒でエンジニアは厳しいかにデータを載せました。IT分野では非大卒が4割を占めています。

中退後に既卒として応募する場合の実態は、既卒の就活は厳しいのかにまとめました。新卒枠で既卒者が応募できる事業所は70%ありますが、実際に採用に至ったのは31%でした。

中退してから何年か経っている方は、30歳・職歴なしは手遅れかもあわせてどうぞ。卒業からの経過年数と正社員率の関係を、総務省の調査から整理しました。

よくある質問

大学中退者の就職率はどれくらいですか

中退者だけを対象にした就職率は、公的な統計として公表されていません。そのため「◯%」と断言している情報には根拠を確認したほうがいいです。分かっているのは、1年間に53,470人が大学を中退しているという事実のほうです。

大学中退は就職で不利になりますか

場面によります。新卒枠には応募できないため、そこは確実に狭くなります。一方で既卒可・学歴不問の求人は存在します。不利になるのは能力の評価ではなく、応募できるルートが減ることによるものです。

大学中退は就職活動でバレますか

隠すことを前提に考えないでください。経歴詐称は、入社後に判明すると解雇の理由になり得ます。履歴書には中退と記載したうえで、理由を短く説明できる状態にしておくのが結果的にいちばん通ります。

大学中退は新卒と中途のどちらで就職しますか

既卒扱いになります。ただし卒業後3年以内であれば新卒枠で受け付ける企業もあるため、募集要項の「既卒可」の記載を確認してください。

大学中退からIT系に就職できますか

できます。IT分野は学歴要件が緩い求人が比較的多く、未経験可の入口も存在します。ただし応募先は自分で探すより、学歴不問を扱う支援サービス経由のほうが見つけやすい傾向があります。

「学歴不問」と書いてある求人が、本当に学歴不問か

いま見たとおり、IT分野は学歴要件が緩い側です。ただ求人票の「学歴不問」は、建前として書かれていることがあります。実際に中退や非大卒を採った実績があるかどうかは、求人票のどこにも書かれていません。

ユニゾンキャリアはIT・Web業界に特化した未経験者向けの転職エージェントです。扱う求人がIT・Webの未経験入社に絞られているので、その会社が過去にどういう経歴の人を採っているのかを、書類を出す前に聞けます。書類で落ち続ける工程そのものを、先に外せるということです。

対象の条件 20代・高卒以上で、東京・埼玉・神奈川での就職を希望する方(現在の居住地は問いません)。大学中退の方は対象に含まれます。

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中退した理由の1位は、学力不振ではありませんでした。転学・進路変更が22.0%で最多です。

それでも書類で落ちるのは、能力を疑われているからではなく、ルートから外れているから

ルートが問題なら、通るルートを選べばいいだけです。

※ 中退者数・中退理由は文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」に基づきます。「次に進むための中退37.1%」は、公表されている理由別の割合のうち「転学・進路変更等」「就職・起業等」「海外留学」を合計して算出したものです。面接に関する記述は、筆者が人材紹介に在籍した期間の見聞に基づく整理です。

カツジン

この記事を書いた人:カツジン

平成2年生まれ・九州在住

元銀行員。M&A仲介とIT人材紹介の会社で、会社の値段と人の市場価値が決まる現場を3年見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。

誰に、何のために書いているか

文系・未経験からITへ動くか迷っている人に向けて書いています。国の統計と、人材紹介で「企業が誰にいくら払うか」をみてきた経験から、いまどこにいて次に何をすれば年収が動くのかを書いています。きれいごとは書きません。

約束していること

数字は一次情報まで遡って確かめます。向いていない人がいることも、そのまま書きます。記事には広告を含みますが、条件に合わない人には勧めません。

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