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文系エンジニアの末路。強い言葉です。
この言葉で検索したということは、文系からエンジニアを目指したい気持ちと、失敗した自分を想像する不安が、両方あるのだと思います。
先に、ひとつ数字を見てください。
エンジニアのおよそ3人に1人は、文系出身です。もし文系の末路が本当に悲惨なら、この業界は3分の1が悲惨な人で埋まっていることになります。さすがに、そんな業界は成立しません。
元・IT人材紹介のカツジンです。文系出身でエンジニアになった人のその後を、うまくいった人もつまずいた人も、両方見てきました。
この記事では、噂ではなく、現場で実際に見た末路をお見せします。そのうえで、明暗を分けていたものが何だったのかを整理します。
巷で言われる、文系エンジニアの末路
検索すると、だいたいこの3つが出てきます。
技術についていけず、数年で辞めることになる。
SESに入れられて、単純作業のまま使い潰される。
理系との差は埋まらず、年収は一生上がらない。
結論から言うと、これらは嘘ではありません。実際にこうなった人を、私は知っています。
ただし、こうならなかった文系出身者も、それ以上に知っています。つまり問題は、末路が本当かどうかではなく、何がその分かれ道を作るのかです。
現場で見た3人のケースをお見せします。いずれも実在の方をもとに、特定されないよう詳細を変えています。
現場で見た、3つのその後
私大文学部卒・営業2年 → 研修2週間でSESの現場へ
会社選びをほぼせず、いちばん早く内定が出た会社に入社。2週間の研修のあと、多重下請けの下層の現場に配属されました。任されたのは、手順書どおりの動作確認だけ。教えてくれる先輩は現場におらず、質問する相手もいない。
2年経って、履歴書に書けるスキルがほとんど増えていないことに気づきました。
分岐点:文系だったことではなく、教育体制を確認せずに入口を選んだこと。この構造は入る前に知っていれば避けられました。
国立大経済学部卒・銀行3年 → テスト職からバックエンド開発へ
最初の職種はテスト・品質管理。地味に見える入口ですが、仕様書を丁寧に読み込む力で頭角を現しました。分からないことをその日のうちに聞く人で、1年後には開発側へ異動。銀行時代の顧客折衝の経験が、要件定義の場面で強みに変わりました。
3年目の転職で、年収は銀行時代を超えました。
分岐点:入りやすい職種から入り、現場で学びながら移動したこと。最初の職種を終着点にしなかったこと。
私大法学部卒・販売職4年 → 資格からインフラエンジニアへ
プログラミングの独学で一度挫折。方向を変えて、CCNAという資格からインフラの道に入りました。コードをほとんど書かない領域で、丁寧さと粘り強さがそのまま評価される世界。夜間の監視業務からスタートして、構築の仕事へ広がりました。
派手さはありませんが、需要が途切れない領域で、着実に積み上げています。
分岐点:コードへの適性で勝負せず、自分の性格が武器になる職種を選び直したこと。
明暗を分けたのは、文理ではなかった
3つのケースを並べると、はっきり見えるものがあります。
つまずいたCASE 1と、うまくいった2人の違いは、学部でも、地頭でも、プログラミングの才能でもありません。
違いは2つだけ。
入口の選び方と、入ってから学び続けたか。
CASE 1の敗因は、教育体制のない現場に入ってしまったことです。これは文系だから起きたのではなく、理系でも同じ場所に入れば同じことが起きます。実際、続けられるかどうかは会社の環境に大きく左右されることが、公的データにも表れています(未経験入社後の1年で数字を紹介しています)。
逆に言えば、末路と呼ばれる状態には、ちゃんと原因があります。原因があるものは、避けられます。
正直に付け加えると、文系出身者が最初の半年、理系出身者より苦労しやすいのは事実です。コンピュータの基礎知識の分だけ、スタート位置に差があります。ただこの差は、現場では1〜2年で見えなくなっていきます。長く効くのは前提知識より、学び続ける習慣の方でした。
文系の強みが効く場面は、実在する
もうひとつ、現場で何度も見た事実を。
エンジニアの仕事は、コードを書く時間だけではありません。顧客の要望を聞き取り、要件に整理し、文書にして、チームに伝える。この工程で、文系出身者の言葉の力が効きます。
CASE 2の彼が開発に呼ばれた直接のきっかけも、テスト報告書の分かりやすさでした。技術は後から積めますが、伝える力は積み上げに時間がかかります。先に持っているなら、それは財産です。
文系ならではの入り方は「文系からエンジニアになれる?」で、職種ごとの向き不向きは「エンジニア職種図鑑」で詳しく書いています。
末路を避ける、いちばん確実な方法
ここまでをまとめると、避けるべきは文系であることではなく、構造を知らずに入口を選ぶことです。
CASE 1の彼がもし、入る前に誰かに相談できていたら。あの会社の教育体制や配属先の実態を、業界を知る人に聞けていたら。結果は変わっていたはずです。
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よくある質問
文系エンジニアは本当に辞める人が多いのですか
辞める人はいますが、原因の多くは文系であることではなく、教育体制のない環境に入ったことや、質問できないまま孤立したことです。環境の選び方で大きく変わります。
SESに入ったら終わりですか
終わりではありません。SESにも経験を積める現場はあります。問題は多重下請けの下層で単純作業だけを続けるケースです。構造を知ってから選べば避けられます。詳しくは「SESを辞めたいは甘えじゃない」へ。
文系は年収で理系に勝てませんか
入口の時点では差が出ることがありますが、数年後の年収は出身学部より、どの領域でどんな経験を積んだかで決まります。年収の動き方は「未経験IT転職と年収のリアル」で解説しています。
プログラミングに挫折した文系はもう無理ですか
CASE 3のように、コードをほとんど書かない職種で花開く人は珍しくありません。挫折は適性の否定ではなく、職種の選び直しのサインかもしれません。「コードが苦手でもなれるIT職」を参考にしてください。
同じ「末路」でも、フリーランスエンジニアの場合は事情が変わります。こちらは国の調査データから整理しました。
まとめ
エンジニアの3人に1人は文系出身。末路と呼ばれる状態は実在しますが、その原因は文理ではなく、入口の選び方と学び続けたかどうかでした。
原因が分かっているものは、避けられます。噂に怯えて立ち止まるより、構造を知って、選んでください。
なお専攻の内訳をさらに分解すると、一般的なIT業務では文系が最大勢力でした。「システムエンジニアに文系が多いのはなぜか」でデータを見ています。
構造を知らずに選んだ人に来る。
同じ構造は学歴にも当てはまります。同じ調査を数え直すと、一般的なIT業務では非大卒が4割でした(「高卒でエンジニアは厳しいか」)。
▶ 進め方の全体像は「未経験からIT転職・現実的ロードマップ」へ。
筆者:カツジン(平成2年生まれ・九州在住)。銀行で10年決算書を読み、そのあとM&A仲介とITエンジニアの人材紹介を3年。会社の値段と、人の市場価値が決まる瞬間を、内側から見てきました。いまは事業承継で小さな会社を経営しています。詳しくは運営者情報へ。
参考・出典
・IPA 情報処理推進機構「IT人材白書2020」(IT企業のIT人材に占める文系出身者の割合)
※文中の3つのケースは、筆者が人材紹介の現場で見た実例をもとに、特定を避けるため経歴・時期などの詳細を変更した再構成です。


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